用語解説 

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パス・スルー課税

概要

 パス・スルー課税とは、LLP(有限責任事業組合)において、法人そのものに課税せず、その構成員の所得に対してのみ課税する税制度のことである。構成員課税とも呼ばれる。構成員にのみ課税されるシステムであるため、二重課税の問題が解消される。

長所・短所

 長所としては、パス・スルー課税が適用されるLLPにおいて、LLP本体と構成員に対する二重課税が行われないことがあげられる。
LLPは主に技術開発などを多数の事業体が共同出資して行う事業形態が想定されている。このため、LLP本体の課税に加え、構成員への二重課税が発生していた場合、構成員の負担が大きくなる。その場合に、このパス・スルー課税を適用することで、構成員同士の利益を考慮に入れずに目的の事業に専念できる。
短所としては、パス・スルー課税はLLPでの利益を考慮に入れず、構成員へ利益配分を行った時点で課税される制度であるため、計算が煩雑になることである。利益配分も出資比率ではなく構成員で事前に取り決めておく必要がある(内部自治原則: 組織の内部ルールを、出資者同士の合意により決定できる)ため、構成員が変化するごとに、取り決めも決め直す必要がある。
パス・スルー課税は、LLPが法人格を有せず、課税されない代わりに設けられた制度である。LLPは課税されていないため、節税対策とはならない点に注意すべきポイントといえる。

シーン

 LLPを設立した際に、LLPの利益にかかる税金にパス・スルー課税が適用される。LLPは構成員の合意の元に利益配分などを自由に決める内部自治原則が適用されるため、パス・スルー課税に関しても、税額の計算などはその都度、税理士などに依頼しなくてはならない。

シーンの応用

 新規事業を共同で設立する場合、初年度から利益が出ないケースが多い。その場合、事業をLLPとして設立しておくことで、パス・スルー課税が適用され、税制面で有利となる。

歴史

 イギリスでは、2000年にリミテッド・ライアビリティ・パートナーシップ法として、複数の法人や個人が共同で出資して設立する事業体を新たに設け、イングランド、ウェールズ、およびスコットランドにおいて制定された。法人格を有しない代わりに、LLP本体があげた利益には課税されず、出資した構成員に直接課税されるパス・スルー課税という制度が盛り込まれた。
そのシステムを日本にも導入しようという流れが起き、2005年8月1日に有限責任事業組合という新しい事業形態が認可された。パス・スルー課税についても、本場イギリスと同様に適用されることが明記されている。

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