2020.9.29 (Tue)

組織力がアップする、よいチームのつくり方(第1回)

強いチームを作る「エンゲージメント」という考え方

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 いつの時代も、管理職は部下の気持ちや考えをどう把握するか、頭を悩ませているのではないでしょうか。部下とのコミュニケーションや管理育成に悩むマネジャーも多いことでしょう。「どうすればよいコミュニケーションが取れるのか」、「どうしたら活発に意見が出る、主体的で生産性の高いチームがつくれるのか」。こうした課題を解決するための、「エンゲージメント」に着目したマネジメント手法について解説します。

対話と共創によって組織力を高める「エンゲージメント」という考え方

 近年、人事領域で注目されるようになってきたのが「エンゲージメント」という概念です。エンゲージメント(engagement)とは、「約束」、「協約」、「契約」という意味の言葉。「婚約」という意味で使われることもあります。人事領域では、「個人と組織が信頼し合い、愛着心を持ちながら、同じ方向に向かって互いに成長する」ような状態をさす言葉として使われています。

 これまで盛んに重要性が叫ばれてきた「従業員満足度(Employee Satisfaction、ES)」という概念は、従業員に十分な環境や報酬を与えてモチベーションや生産性を高めようという、どちらというと企業側から従業員側への一方通行の取り組みに支えられていました。

 一方、エンゲージメントは、組織と従業員が対話することによって互いを高め合うような、双方向の活動が重視されます。ただ報酬を上げたり、福利厚生を充実させたりするのではなく、1on1ミーティングやチームディスカッションをはじめとする対話型の取り組みなどによってビジョンを共有し、互いの情報をキャッチする。こうしたことを繰り返しながら、信頼感ややりがいを向上させ、働く環境を改善していくという共創型の取り組みが求められているのです。

 主従の関係は、過去のものとなりつつあります。フラットな関係を求める若手従業員と前向きに歩み続けるためにも、また、高度に複雑化した答えのない社会で組織を成長させ続けるためにも、企業にとってエンゲージメントを高めることは必須と言ってもよいでしょう。

管理職が抱える問題を解決することが欠かせない

 エンゲージメントを高めるために欠かせないのが、マネジメントの機能不全をあぶりだすこと。「部下のモチベーションが低い」、「生産性が上がらない」、「組織に対する愛着心や帰属意識が弱い」などなんらかの問題がある場合は、そこにマネジメントの機能不全があると考え、まずは管理職の働きや部下に対するアプローチを見直すところから始めるとよいでしょう。

 管理職が抱える問題としてありがちなのが、管理職自身のオーバーワークです。忙しすぎて部下の世話まで手が回らないというケースも少なくありません。また、部下の工数管理やプロジェクトマネジメントが苦手なマネジャーもいることでしょう。こうした問題は、プレイヤー志向の強い管理職が抱えがちです。まずは会社や管理職が自ら課題を意識し、業務の調整や管理業務に関する知識のインプットを行うことが必要です。

飲みニケーションに変わる、令和時代のコミュニケーションを考える

 もうひとつありがちなのが、上司から部下へのアプローチ不足の問題です。昔ならば、仕事帰りにちょっと1杯ひっかける、いわゆる「飲みニケーション」によって部下との距離を埋めることができました。しかし現在は、働き方改革、若者の飲酒離れ、コロナなど、さまざまな事情があり、そう簡単に飲みに行くことが叶いません。ならば会社で面談を、と考える管理職も多いことと思いますが、“面談”という主従の関係が支配する会話の場だけでは、なかなか質の高いコミュニケーションが取れないのです。そうこうしているうちに、どんどん部下の心が離れていき、部下のことがわからなくなってしまう……。これを回避するには、就業時間内に、業務の一環として、質の高い双方向コミュニケーションを行う場をつくることが有効です。

 毎週15分の1on1ミーティングや、ランチを摂りながら業務についてのディスカッションを行うLunch&Learn、従業員が持ち回りで講師を務める部課単位の勉強会など、少人数かつ従業員主体の会話の場を設けるとよいでしょう。このとき上司は、主にファシリテーターの役割を担うとよいとされています。部下の話を引き出し、傾向や課題、不満などをキャッチアップすることで、ひとり一人の部下に対するアプローチの方法が見えてくるのです。

 マネジメントの機能不全が解消されれば、おのずと部下のストレスが軽減し、組織への理解も深まります。ここに、組織のビジョンに関連する適切な人事評価とフィードバック、報酬アップや環境整備などの施策を加えることで、より大きな効果が期待できることでしょう。

 組織改善コンサルティングを行う株式会社リンクアンドモチベーションの調査によると、「売上/純利益の伸長率とエンゲージメントスコアとの間には、右肩上がりの関係性が見られる」そうです。企業の成長にも欠かせない「エンゲージメント」という考え方。ぜひ積極的にマネジメントに採り入れて、部下を巻き込みつつ、強い組織をつくっていきましょう。

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