2020.5.21 (Thu)

いまどきのテレワーク事情(第4回)

コロナ禍でも絶えない“はんこ出社”の解決策は?

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 いまだに強く根付いている日本の “はんこ文化”。「請求書を作成して郵送する」「契約書にはんこを押す」など書類へ押印するために出社しなければならないことが、テレワークの妨げになっています。これらを解決するための「電子印鑑」の活用法を紹介します。

 

なぜ日本企業は、“はんこ文化”なのか?

 日本の企業では、契約や決済で「印鑑が押印された紙書類でなければ受け付けない」というケースが少なくありません。クラウド型電子契約サービスを運営するE-STAMPが実施した「電子契約・電子請求書に関する調査」(2020年4月)によると「緊急事態宣言中に印鑑の押印が必要で今月出社した、もしくはする予定はある」と答えたテレワーク勤務者は、全体の40%を超えました。

 では、そもそもなぜ日本では「朱肉による印鑑の押印」が重要視されるのでしょうか。その理由のひとつに、法的に書類の信用性を高められる点が挙げられます。

 民事訴訟法第228条4項では、「私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する」と規定されています。つまり、本人の意志による署名や押印がある文書は、反証がない限りその正当性が認められることとなり、信用度の高い書類であるといえるのです。

 書類に押印ではなく署名がある場合も、信用度に変わりはないはずですが、ビジネスルールとして「朱肉を使った印鑑の押印」が確立しているのは、昔からある商慣行、見栄えの良さなどが関係しています。

「電子印鑑」は意外と簡単に利用できる

 企業がテレワークを推進するためには、「書類に押印する」という習慣化された事務作業を見直し、印鑑の「電子化」を推し進めていくことが必要です。そこで注目されているのが「電子印鑑」です。PDFなどの電子書類にパソコンやスマートフォンから押印できるのでで、「押印のために出社」する必要がなくなります。

 電子印鑑は、インターネット上で提供されている電子印鑑作成ツール/サービス、画像編集ソフトなどで簡単に作成できます。認印であれば、用意されたフォームに内容を打ち込むだけで作成できる無料サービスもあるので「すぐにでも電子印鑑を使いたい」という場合は試してみるとよいでしょう。

 ただし、契約書などの重要書類に実印として使用する場合は「セキュリティ」対策が不可欠です。電子文書は紙に比べて偽造や改ざんがしやすいため、持ち主の情報や固有のIDなど、識別情報が組み込こまれたものが適しています。電子印鑑の作成だけでなく「回覧や保管」をセキュアなオンラインで完結できるクラウドサービスもあり、そういったサービスを活用すれば社内の書類処理の効率化にもつながります。

 また、請求書や見積書といった社外向けの書類は、取引先が電子印鑑を使用したやりとりに応じてくれなければ意味がありません。しっかりとコミュニケーションを取り、使用の可否を確認しておくことが大切です。

“脱はんこ”は、働き方改革にもつながる

 このようなビジネス文書の電子化において、サインの文化である海外では「電子契約」が急速に拡大しています。

 電子契約とは、電子書類上に電子署名を書きこんだ契約書のことです。電子署名には、誰がどのような文章を作成したのかといった情報がデータに組み込まれており、印鑑が押印された書面の契約書と同等の信用性が認められています。

 このような動きは、IT企業を中心に国内にも広がりつつあります。インターネット関連事業を手掛けるGMOインターネットグループは、4月17日、提供している各種サービスの顧客手続きにおける印鑑使用を完全に廃止。さらに、今まで紙で取り交わされていた取引先との契約を「電子契約」に切り替えていく方針を発表しました。5月1日にはLINEグループが、同じくすべての契約に「電子契約」を導入すると発表しています。

 電子印鑑や電子契約は導入時に一定のコストがかかりますが、長期的な視点から見れば定型業務の効率化、ひいては「働き方改革」につながります。中でも、契約手続きや請求・支払いなどの経理処理では大きなコスト削減が期待できます。

 アナログな印鑑から、電子印鑑、そして“脱はんこ”へ。ITの進化とともに商慣行も変化していきます。コロナ禍におけるテレワークの推進は、非効率だった自社の業務フローを見直し、進化させることができる機会ともいえます。

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