2020.6.12 (Fri)

教育の質を向上させる(第3回)

スタンフォードやMITの講義が無料「ネット学習の今」

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 新型コロナウイルスによる休校措置で急速に進んだオンライン学習において、MOOC(ムーク/Massive Open Online Courses)と呼ばれる大規模公開オンライン講座が世界的に注目されています。スタンフォード大学や東京大学などの授業を無料でオンライン受講できるMOOCの仕組みと、With/Afterコロナ時代の「新しい教育の姿」について紹介します。

スタンフォードやMITの講義を無料で受講できる

 MOOCは、2008年にアメリカで始まったオンライン教育です。2012年にスタンフォード大学がMOOCのプラットフォーム「Coursera(コーセラ)」を開発したことなどをきっかけに、さまざまなプラットフォームが生まれ、世界中の大学が参画するようになりました。

 最大の特徴は、スタンフォード大学、ハーバード大学、マサチューセッツ工科大学をはじめとする世界トップクラスの大学のオンライン講義を、無料で受けられるところです。日本からも、東京大学、京都大学、早稲田大学、慶應義塾大学など、多くの大学が参画しています。講義だけでなく、課題の提出と添削、オンラインディスカッション、1on1でのオンラインミーティングなどが組み込まれているコースもあり、最後まで受講し一定の評価を得ることで修了証がもらえる場合もあります。

 MOOCは、「多くの人に等しく高等教育の機会を提供する」「医療、法務、財務、情報セキュリティといった専門性の高い分野の学習をフォローする」「リカレント教育を後押しする」などの意義を持つ次世代の教育システムとして注目を集めています。

デンソーは社員教育にMOOCを活用

 MOOCを活用し成果をあげているのが、「世界最難関の大学」として知られるミネルバ大学です。ミネルバ大学の合格率はわずか2%程度。キャンパスを持たず、4年かけて世界7都市を巡りながら寮生活を行い、学びや交流を深めています。講義はすべてオンラインで行われ、知識の習得が主目的となる基礎科目の授業にはMOOCが採り入れられています。MOOCにアウトソーシングするような形で知識の土台をつくり、そこに世界トップクラスの教授陣による専門性の高いオンライン講義を加えることで、より効率よく質の高い教育を行っているのです。

 企業でも、MOOCの活用は進みつつあります。株式会社デンソーは2018年に、日本で開発されたMOOCプラットフォームである「gacco(ガッコ)」を人材育成に採り入れました。同社では、修了した従業員に奨励金を支給する「Start-up! 応援金」制度を整備することで、全従業員の約半数に当たる2万6000人が受講し、うち約12%が修了しました。

 MOOCのプラットフォームは、前出の「Cousera」「gacco」のほか、マサチューセッツ工科大学とハーバード大学によってつくられた「edx(エデックス)」、GoogleやFacebookなどといったテック系企業とのコラボレーション講義が多い「Udacity(ユダシティ)」、日本最大級のMOOCプラットフォームで受講者数100万人を突破した「JMOOC(ジェイムーク)」、世界の大学の講義を日本語字幕つきで学べる「Asuka Academy(アスカ アカデミー)」など、さまざまなものがあります。

“ネットの学校”が、教育の主役になる時代へ

 2020年3月、“ネットの高校”として知られるN高等学校から「東大合格者が1名、京大合格者が3名」という話題がニュースになりました。2021年には、オンライン教育で卒業と学士号の取得ができる“ネットの大学”「managara(マナガラ)」が開校される予定です。このように、国内でも徐々に「オンラインでも高度かつ十分な教育が受けられる」という認識、「オンライン教育をメインに据える」という動きが少しづつ広がっています。

 時代に合った、自由で、効率の良い学び方ができるオンライン教育と、そのひとつの形であるMOOC。With/Afterコロナで「新しい生活様式」が求められるこれからの時代において、「ネットの学校が教育の主役」になる日が来るかもしれません。

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