2017.1.26 (Thu)

理想的な会社の在り方とは(第13回)

部下に対する「ちょっとした質問」が成長を促す

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 ビジネスリーダーの立場であれば、部下から相談や質問を受けるのも仕事のひとつです。しかし、その応対のために自分の仕事がなかなか進められないという悩みを持つ人も多いでしょう。

 手のかかる部下に対して、上司は一体どこまで指導するべきなのでしょうか。その都度細かく指示を出したり、一人ひとりに親身な対応をすることは、部下の考える力を奪う一番の要因になっているかもしれません。

部下が自分の頭で考えないのは、上司の責任である

 部下への指導法は、子どもの育て方に似ています。

 たとえば子供が落とし物をしたとき、「物を大切にしなさい」と叱るとします。しかし、ただ叱るだけでは、子供は叱られることを恐れて、失敗を隠すことを覚えてしまいます。一方で、叱らずに新しい物を買い与えたとしても、今度は物を大切にする心を養うことができません。

 この問題の本質は、落としたことが悪かったのではなく、なぜ落としたのかという点です。どのようにすれば解決するかを子供自身の頭で考えるよう指導することが、子どもの成長を促すのです。たとえば、子供に落とし物をした経緯を問い、どこをどう探せば見つかるのかを一緒に考えることで、探し方を示すことができます。

 これと同じことが、部下の育て方にも言えるでしょう。なかなか仕事を覚えられない新入社員に、すぐに解決策や結論を与えることは確かに楽です。しかし問題の本質を考えるフローが抜け落ちているため、今後同じような問題が起こったときに、部下は同じような質問をしてくる可能性が高いでしょう。

 人を育てるためには、解決策を与えるのではなく、解決策を見つけられるようにサポートする姿勢が重要です。部下が自分で考え、成し遂げたという実感がなくては、いつまでたっても仕事の面白味を感じられませんし、面白味がなければ、自ら考えて動こうという意欲を持つこともできません。

指示する前に、まずは部下の見解を聞いてみよう

 では、どのようにして、自分の頭で考えられる部下を育てていけばよいのでしょうか。そのカギは、上司の部下に対する「質問」にあります。

 たとえば、顧客からのクレームにどのように対応すべきか相談に来た部下がいるとします。上司としては、今後の対応方法、いつまでに何をすべきかなど、クレームが大きな問題につながらないための策を細かく指示を出してしまいがちです。しかしこの方法では、解決策までのレールをほぼ上司が敷いてしまっているため、部下が考える余地がありません。

 ここで重要になるのが、部下に対する質問です。問題の報告を受けてすぐに解決策を出すのではなく、まず「自分(部下)はどうしたいのか?」「そのためには何をすれば良いと思うのか?」といったような質問を部下に投げかけてみましょう。

 もちろん、部下が答えられない可能性もありますが、中には「大口のお客様なので、この程度の値引き率であれば長い目で見て回収できます」といった自分なりの見解を見出す部下や、「値引きはせず、謝罪のみで場をおさめてみたい」といったチャレンジ精神を見せる部下もいるかもしれません。

 こうした質問を加えるだけで、上司は部下の意欲や能力をうかがい知ることができ、部下も上司に「話を聞いてもらえた」、「自分に任せてもらえた」というという充足感や、ピンチの時も自分で仕事を進めていかなければならない責任感を感じられるのです。

 もちろん、部下の見解が見当違いだったり、会社として認めることができない場合もあるでしょう。その時は、理由を説明して軌道修正すれば良いだけです。間違いに気付けば、部下は同じ判断ミスを犯さなくなるでしょう。

ちょっとした質問が、組織の良い循環を生む

 部下が受け身になると、今度はその下のメンバーも同じように上司に解決策を求めるようになってしまいます。これでは上司は、いつまでも自分の仕事の時間は永遠に持てないでしょう。

 一方で、部下が「こうしたいのですが、どうでしょうか」と、既にある程度の見解を持った状態で上司に質問するようになれば、上司の手間が省けます。そして、成長した部下がさらに下につくメンバーを同様に指導するようになれば、上司だけでなく、チーム全体の負担が軽減されることになります。

 部下の質問についつい1から10まで細かく指示してしまうタイプの人は、その指示をする前に、「自分はどうしたい?」「そのためには何をすれば良いと思う?」といった質問を入れてみてはいかがでしょうか。

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