まさかのために備える知識(第12回)

主力が突然いなくなる!SMAP解散に見る企業のリスク

posted by 高島 ちなみ

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 日本を代表するアイドルグループ、SMAP。8月14日に発表された解散のニュースは、日本中に衝撃を与えました。

 しかし、彼らを一般企業における「ベテランエース社員」とすると、独立騒動はどこにでもある話に過ぎません。

 では、頼りにしている社員が「ひとり立ち」を申し出てきた時、企業はどうすべきか。今記事ではSMAP解散報道から、企業のリスクマネジメントについて考えます。

会社を離れようとする従業員を引き止めるには限界がある

 SMAP解散報道を見ていると、華やかな世界にいる彼らですら、雇用者との関係に悩んでいたことがよくわかります。「タレントは商品」とも言われますが、結局は、一人ひとりが「契約社員」に過ぎなかったという事です。

 グループの解散が決定したSMAPですが、その前段階として、今年1月に報道された「独立疑惑」のスクープがありました。その後は生放送での謝罪を経て、所属事務所の社長より「解散はない」と、異例の発表も行われています。彼らに対して、独立を引き留めようとする動きがあったのは間違いありません。

 一般企業でも、主力社員が独立を図る時、当該社員を引き留めようと動くのはある意味当然の行為だといえるでしょう。その社員が同業で会社を興し、顧客を奪われてしまっては会社の存続にも問題が生じます。そのため、就業規定にて「競業禁止」を規定する企業がほとんどです。

 しかし、競業禁止の期間は、会社を離れた後1年程度が目安となっており、期限を超えれば元雇用側に退職者を縛る権限はありません。これ以上の厳しい禁止規定を用いても、裁判等では憲法第22条における「職業選択の自由」が優先される傾向にあります。会社からひとり立ちしようとしている社員を止めようとしても、どうしても限界があるのです。

「引き継ぎ」は一番大事

 それでは、主力社員に独立や退職の意向があると知った時点で、企業側はどうすべきなのでしょうか。正直なところ、完全に引き止める方法はありません。企業側ができることは、たとえその人がいなくなっても、事業が継続できるよう、「本人だけに留まっているノウハウがないか」についてきちんと把握することです。つまり、前任者からの「引き継ぎ」が最も重要になります。

 会社は今後、頼りにしていた社員の抜けた穴を埋めるための努力を余儀なくされます。その穴を埋めつつ、同時に新たな有力社員を育成する必要もあるのです。「引き継ぎ」はそのための重要な作業です。会社に利益を残す作業を行ってもらわなければなりません。

 引き継ぎの内容は、記録として形にしておくのがベストです。この資料は、これから社内で人事の流動化を図る際に役に立ちます。

 また当該社員に多くの直属部下がいる場合、周辺社員のモチベーションの低下を防ぐためにも、突然会社を去るのではなく、一定期間をおいて会社を離れてもらうのがベストです。

 さらに顧客にも、本人と引き継ぎの社員とで挨拶回りをすることで、「顧客とその社員」ではなく、「顧客と会社」の関係をイメージ付けしておきましょう。普段から顧客の元には複数の社員を向かわせ、社員と一対一の関係にならないよう留意しておくこともリスクマネジメントのポイントです。

会社を離れる本当の理由を知っておくべき理由

 独立や引き抜きのリスクを考えた時、企業は従業員満足度(ES)の向上によってしか、それを防ぐことが出来ません。そこで絶対に無視してはならないのが、辞めていく社員それぞれの「退職理由」です。

 独立である、ないに関わらず、ありのままに近い退職の原因や理由を知っておくことが、第二、第三の退職を防ぐためには重要になります。

 退職を考えている社員は、正直にその理由を話さないこともあります。充分なヒアリングを行うためには、何事も正直に話せる環境をいつも整えておくことが大切です。十分に話す機会がないと、社員は不満をどんどん貯めていき、やがてはその不満が退職という形で現れかねません。

我が社の“スター”がいなくなったらどうする?

 もちろん、退職のきっかけが社員自身の向上心によるものであれば、自社のやり方を過剰に振り返る必要はありません。しかし、従業員満足度の低さに起因するものであれば、何か手を打たなければ、さらなる人材流出の恐れも十分にあります。

 SMAPの場合は、所属事務所からの独立が解散のきっかけといわれています。一般企業であれば、退職を認めつつも、自社に不利益にならないように、ジワジワと引き継ぎを行ったことでしょう。しかし今回、所属事務所はそれを認めず、SMAPも解散はすれど、メンバーは事務所に所属したままという結果になりました。

 SMAPほどの有名人ではないにせよ、企業には組織を支える“スター”とされる人物がいるものです。その中心人物がいなくなった時、企業はどうすれば良いのか? 一連の報道は、改めて企業のリスクマネジメントにおける重要性を認識させてくれる事例といえるでしょう。

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高島 ちなみ

高島 ちなみ

フリーライター。2012年より執筆活動を開始し、ビジネスコラム・グルメレポートなどを執筆。無類の図書館好き。趣味が高じて司書資格も取得。ライブラリアン・検索技術者として、WEB媒体向けのレファレンス支援も行う。

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