2017.2.6 (Mon)

もっと税金を知ろう!(第9回)

決算期直前でもできる節税テクニック

posted by 町井 徹

このエントリーをはてなブックマークに追加
Evernoteに保存
印刷

 予想外の業績上昇はありがたいことですが、それが決算期を控えた時期であった場合は、納税額が増えるため、手放しでは喜べません。そんなときは、決算前にできる節税テクニックを使って負担を軽減しましょう。

 ここでは、年度の突出した税負担を防ぐ、代表的な5つの方法を紹介します。

方法その1「短期前払費用」

 「前払費用」とは、継続的なサービスを受ける費用のうち、事業年度内ではまだサービスの提供を受けていない費用のことです。家賃を例にとるとわかりやすいでしょう。来月分の家賃を今月に支払うことで、まだサービスを受けていない費用を前払いしたことになります。

 前払費用は税法上、損金に算入することができませんが、例外があります。それは支払った日から1年以内にサービスの提供を受けるものであれば、損金として算入できるという規定です。これを「短期前払費用」といいます。仮に次年度分の年間家賃120万円を今年度に支払えば、120万円分を損金として追加でき、そのぶん所得も減るので税負担が軽減されます。

 このときに注意しておきたいのが、税負担は減るものの、当座の資金が減ることです。思わぬ黒字で余剰資金があるときはいいかもしれませんが、安易に用いると資金繰りショートを招く恐れもあります。

方法その2「特別償却」と「税額控除」

 いずれも設備投資に関係した節税策です。

 「特別償却」とは、その年に取得した資産であれば、その年に減価償却費を多めに計上できる制度です。減価償却費は損金に算入できるので、節税対策となります。例えば100万円の機材を購入したときに、通常であれば5年をかけて均等に償却すると、損金は「20万円」になりますが、「特別償却」で5割を償却すれば、50万円を損金にできます。

 「税額控除」とは、その年に取得した資産の購入費用の一部を、一定の割合で税金から直接控除する制度です。上限は法人税額の20%と定められています。

 この2つは併用できないので、取得した資産の額や、益金などをかんがみて、どちらがより適当かを選びましょう。

 利用にはいくつか細かな条件があります。具体的にいえば、中小企業投資促進税制の適用対象となる中小企業が対象です(業種にも細かな指定があります)。また、利用できる設備投資対象にも規定があり、以下とされています。

・機械装置(1台160万円以上)
・電子計算機(複数台計120万円以上)
・デジタル複合機(1台120万円以上)
・測定機器や測定工具等(1台30万円以上かつ複数台計120万円以上)
・ソフトウェア(複数計70万円以上)
・貨物自動車(3.5トン以上)
・内航船舶(取得価格の75%が対象)

方法その3「生命保険の加入・見直し」

 生命保険は節税対策に用いることができます。

 現行の制度では、企業が保険業者と契約し、自社の役員や従業員に保険をかけると、その保険料を損金に算入することが可能です。それは同時に従業員に不測の事態が発生すると保険金が受け取れるので、死亡退職金の充当などといったリスクヘッジにもなるでしょう。。

 さらにいえば、保険なので、解約すれば比較的高額な解約返戻金を受け取ることができます。受け取った金額は益金に算入されるので、黒字の年は所得が増えて課税額も増えますが、赤字の年であれば課税はされません。

 つまり最も上手な節税は、想定外の黒字幅があった年に加入して、その年の所得を減らし、赤字の年に解約返戻金を受け取ることです。

方法その4「備品の購入」

 資本金が1億円以下の青色申告法人であるならば、取得価額が30万円未満の備品購入を損金に算入できます。購入の予定がある備品を、前倒して購入してみてはいかがでしょうか。

 「この際だから限界まで備品を買ってしまおう」と考える人もいるかもしれませんが、上限は300万円までと決まっているので、忘れないようにしてください。

方法その5「固定資産の修繕」

 固定資産の修繕が、維持管理や原状回復のために必要だったと判断されれば、損金に算入できます。

 しかし、もし修繕によって固定資産の資本的価値が上がったと判断されてしまうと、減価償却の処理となってしまうデメリットがあります。修繕による資産価値の変化は、修繕費や改良費などの名目ではなく、内容によって判断されます。たとえば、いくら修繕費という名前であろうが、室内の模様替えなどの改装をした場合は、資産価値が上がったと見なされます。

 修繕にかかった額が1件あたり20万円未満、または3年以内の周期であれば、無条件に修繕費と認められます。たとえ20万円以上であったとしても、金額が60万円未満またはその資産の前期末における取得価額の10%以下であれば、これも修繕費として認められます。

 今回紹介したのは代表的な節税対策で、ほかにも会社や業種に応じた対策がいくつもあります。できることはなんでもやってから決算に臨みたいもの。まずは会計担当者や税理士に話を聞いてみではいかがでしょうか。

このエントリーをはてなブックマークに追加
Evernoteに保存
印刷
町井 徹

町井 徹
【記事監修】

公認会計士、税理士。税理士法人はやぶさ会計代表社員、株式会社はやぶさコンサルティング取締役副社長、はやぶさ監査法人代表社員。一橋大学社会学部卒業後、三井信託銀行株式会社(現中央三井信託銀行)入社し、事業会社融資業務に従事。その後、監査法人などを経て、株式会社PAS(現はやぶさコンサルティング)設立に参画し、国内金融機関・上場会社への会計・税務等アドバイザリー業務などに従事する。

メルマガ登録


「人材不足」を働き方改革で乗り越える


教育機関向け特集


自治体向け特集

ページトップへ