ICTで業務を効率化(第14回)

拠点間コミュニケーションのリスクはVPNで克服!

posted by 佐京 正則

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 ICTは、コミュニケーションを距離や時間などの制約から解放してくれる技術です。実際に東京、大阪、名古屋など離れた拠点同士のリアルタイムなコミュニケーションを実現する手段として、ICTを導入している企業は少なくありません。特にWeb会議システムでは、物理的な移動無しで重要事項の協議を可能としており、ICTによる恩恵を受けたうちの1つに挙げられます。

 しかし距離の離れた拠点間コミュニケーションには、特有の「情報漏えい」というリスクのほか、「回線遅延」や「瞬断」といった課題が存在します。それら拠点間コミュニケーションのリスク対策・課題対応として、「VPNの活用」を紹介します。

即効性のあるコスト削減策としての「Web会議」

 Web会議システムは決して新しい仕組みではないものの、近年再評価されているICTの1つです。メールや電話と違って、相手の表情も映像化されて伝達されるのは、会議のようなコミュニケーションで重要な情報となります。

 アメリカの心理学者アルバート・メラビアンが1971年に提唱した「メラビアンの法則」によれば、コミュニケーションは「言語情報(文字)」「聴覚情報(声)」「視覚情報(表情や仕草)」という3つの情報を認識することで、成立しているといわれています。人がこの3つの情報を認識する割合は「7%:38%:55%」といわれており、視覚情報の割合が半分以上を占めているのです。この割合から「7・38・55ルール」や「3Vの法則」とも呼ばれています。

 この法則に従えば、コミュニケーションは視覚情報が最も大きな影響力を持つことになります。つまりWeb会議システムは、メールや電話にはなかった「視覚情報」を伝えるという点で、実際に顔を合わせたコミュニケーションに近い効果が期待できます。

 また、Web会議の導入によって、役員・社員の移動コスト(お金、時間)や、出張による代替人員の調達コスト、会議設営の場所代、ケータリング費用などが節約できることも見逃せません。Web会議ならではの即効性あるコスト削減策になるでしょう。拠点の数が多く、頻繁に会議や合意が必要な企業ほど、Web会議システムの恩恵は大きくなるはずです。

 しかし、Web会議には拠点間コミュニケーション特有のリスクや課題も存在します。

拠点間コミュニケーションのリスクや課題は?

 拠点間コミュニケーションのリスクは「盗聴によるセキュリティリスク」です。離れた場所同士でリアルタイムなビデオコミュニケーションを行う場合は、インターネット回線を使用する方法が一般的でしょう。しかしインターネットは「公衆回線」であるため、第三者への情報漏えいのリスクがあります。

 重要な会議の内容などの機密情報が漏えいすると、重大なセキュリティインシデントに発展し、取引先や顧客からの信用低下を招きかねません。場合によっては損害賠償、慰謝料、補償金の支払いなどが発生し、大きな金銭的ダメージを負うことも考えられます。

 また機密情報がライバル企業に漏えいした場合、市場での立場が低下する可能性もあるでしょう。こういったさまざまなリスクを最小限に留めることが、拠点間コミュニケーションの大前提といえます。

 課題としては「回線の瞬断や遅延によるコミュニケーション品質の低下」「精神的ストレス」があります。回線の品質はそのままコミュニケーションの品質につながり、これが低下すると精神的なストレスを生み出します。いくらコスト面で優れていたとしても、音声やビデオが頻繁に途切れていては、有意義な議論ができません。

 こういったリスクや課題を克服するため「専用線」の開設に踏み切る企業もあります。しかし、専用線は拠点が増えたり、拠点間の距離が遠くなったりするごとにコストが増大するため、開設と維持には相応のコストがかかり、Web会議のコスト削減効果が薄まってしまいがちです。

 Web会議が優れたコスト削減効果を発揮したとしても、回線の問題を解決しないことには、結局はコスト高な「アナログ会議」に戻ってしまうでしょう。

 そこで注目すべき仕組みが「VPN」です。VPNには、これら拠点間コミュニケーションのリスクやデメリットを解決できる可能性があります。

VPNで拠点間コミュニケーションの課題を解決

 VPNは「Virtual Private Network」の略で、訳すと「仮想的な個人回線」です。主にビジネスシーンにおいて、企業内のデータ通信に用いられています。インターネット回線や閉域網、暗号化技術を活用しながら、より安全かつ高速にデータをやり取りできる点が強みです。これだけを見ると、専用線と大差ない技術に感じるかもしれません。

 しかし、VPNは専用線とは異なり、拠点間の距離や拠点の数によってコストが変動しないという特徴を有しています。特に「IP-VPN」という方式を使えば、本社以外の拠点間同士でもコミュニケーション品質が劣化せず、柔軟かつ高品質なWeb会議が可能になるでしょう。

 さらに最近では、クラウドシステムへの接続が可能となり、Web会議以外においても、システム(ファイルサーバーや基幹システム)との連動などがスムーズに行えます。

 VPNは、拠点間コミュニケーションの弱点を補いつつ、そのメリットを最大化する仕組みなのです。

 「制約からの解放」と「コスト削減効果」が期待できるWeb会議の活用には、「回線」の安全性や速度といった品質が鍵になります。VPNの導入によって拠点間コミュニケーション特有のリスク・デメリットを軽減し、企業全体のコミュニケーションを活性化していきましょう。

※掲載している情報は、記事執筆時点(2018年3月8日)のものです。

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佐京 正則

佐京 正則

法学部を卒業後、IT業界にて約10年間、エンジニアやERPコンサルタントとして勤務。2015年よりフリーライターとして活動し、主にIT系ビジネスや不動産投資、社会人の転職事情などについて執筆中。文理両方の知見を活かし、テクノロジーとビジネスが結びついた話題を得意としている。

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