2016.7.14 (Thu)

社員のモチベーションを高めるヒント(第10回)

社内FA制度のメリット・デメリット

posted by 株式会社アークコミュニケーションズ

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FA導入は吉と出るか凶と出るか?

 社内FA(フリー・エージェント)制度を導入すると、管理職としては部下が予期せず異動するマイナスの側面を警戒してしまいます。

 しかしながら社内外で雇用が流動化し、かつてのような絶対安泰な企業・ポストが減っているため、社内FAのメリットは相対的に上昇しているのです。制度設計のいかんによっては、若手よりも、中堅以上の社員にとって、チャンスとなる可能性があります。

 そこで今回は社内FAの基本をみながら、実際の導入事例を調べてみます。

社内FA制度とはなにか?

 社内FA制度とは、ある一定の資格条件を満たした社員がフリー・エージェントを宣言し、みずから異動先の部署を指定して申告できる人事異動制度です。自己申告や社内公募と大きく異なり、社員が主体的に動ける制度といえるでしょう。

 FAを取得した社員は、希望の異動先を指定し、そこで能力や適正を判断され、必要とされれば移籍が決定します。また自分を必要とする部署から、声が掛かることを待つ方法もとれます。

 自己申告では、企業に希望を伝えられるものの裁量権は人事部にあり、実質的には会社都合による異動の参考程度にしかなっていませんでした。それよりも開かれた制度といわれる社内公募も、人材を必要とする部署が出す募集に応募するかたちのため、社員の立場からすれば受け身にならざるを得ませんでした。

 それらに比べると、本人の意思が直接表に出るので、FAはモチベーションアップに大きくつながります。

社内FA における人事部の役割

 社内FAは人事部を通さない異動であることが、最大の特徴かつメリットです。しかし、社員と企業をFAのデメリットから守るために、人事部の存在は不可欠でしょう。どうしても発生してしまう、ある程度の軋轢を減らし、社員にとってFAが本当に有効なのかの第三者的なアドバイスができるのは、人事を専門とし、広く社内全体をみている部署だけです。

 まず大切になってくるのは、制度の正しい仕組みを周知する取り組み。大きい企業であればあるほど、日常の業務が忙しく、制度の存在自体を知らない人が多く出ます。FAを宣言するために必要となる資格、宣言後に対象部署と交渉をする方法、それらの相談相手になる人事部の存在意義を、社内SNSなどを使って告知するといいでしょう。

2つの事例に学ぶ社内FA

 電子機器メーカーのオリンパスがFA制度を実施したのは2002年から。それ以前に導入されていた社内公募制では、応募の報告義務がなく気軽な半面、上司に相談をすることができませんでした。

 その問題点を解消するために、新たに導入したFA制度では直属の上司の許可を得る方式をとっています。その後、キャリアプランカードの提出と面談を経て、異動許可が出たら、グループウェアの求職者データベースに登録されます。異動部署の申告を自分からすることはできず、声が掛かるのを待つかたちですが、そのぶん、軋轢が少ない日本的な考え方の折衷案です。

 また、高機能繊維など扱う帝人が社内FA制度を導入したのは1988年のことです。帝人のFA制度では、若手や中堅だけの利用にとどまらず、幹部クラスが事業会社社長に就くケースもあったそうです。

 相手先との面接などの過程は一切直属の上司には知られず、内定が決まってから初めて報告をします。グループネットを通じた、本人希望と公募先部署によるニーズのマッチングという方式で、どちらかといえば公募型に近いものの、秘密裏に進められるのは、大きなアドバンテージでしょう。

中堅社員以上にとってのFA

 社内FAは資格要件を満たし、自分の力を試そうとする、比較的若い層のための制度と思われがちです。しかしながらキャリアがある程度形成された、中堅以上のベテラン社員にとっても、これからは選択肢のひとつになり得ます。

 この層は、社内で立場の危うい存在であるとしきりにいわれ、最近では30代にして老害のレッテルをはるメディアまで現れています。世代感ギャップが強すぎる20代の若手へ的確なアドバイスができず、さらに上の世代とのあいだに挟まれて、身動きがとりづらくなっているようです。

 若いころのように無茶が許されない世代としては、社内FAを企業が設けている、積極的なアピールとキャリアアップの機会と考えて、挑んでみてはいかがでしょうか。もちろん簡単なことではないので、人事部による専門的なバックアップを受けながら望むといいでしょう。

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