2016.7.12 (Tue)

社員のモチベーションを高めるヒント(第9回)

気を付けて!その一言が部下の成果を左右する

posted by 村上 哲也

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 日本語は難しく、本人としては同じ内容を言っているつもりでも、聞き手にとっては印象が全く違う場合がよくあります。ビジネスシーンにおいては、投げかけた言葉の印象次第で相手のモチベーションを左右してしまいます。経営者や上司の立場としては、どのような言葉掛けが正しいか、どのように言われると部下のモチベーションが上がるかを知っておくことは、非常に重要なこと。なぜなら、上司の言葉掛けが良ければ、部下はより一層仕事に打ち込み、大きな成果を出してくれるからです。逆の場合は、部下の心はあなたから離れ、大きな成果も期待できません。

 それではどのような点に気を付ければよいのか、今回は助詞の「てにをは」についてと、褒める際のポイントについて考えてみましょう。

日本語における「てにをは」は難しい

 「てにをは」は思っている以上に難しく、また相手に与える印象も大きく異なります。たとえば、以下の例文を比べてみましょう。

A.「この案で良い。早速取り掛かってくれ。」
B.「(是非)この案が良い。早速取り掛かってくれ。」

 このような会話は日常的に行われているでしょう。上記の会話は、ほぼ言っている内容は同じです。ただし、相手に与える印象は180度異なります。私たちは意識せず、Aを使いがちです。しかしこれでは駄目です。何が駄目なのでしょうか。

 A、 Bともに同じ背景の元でプロジェクト案が決まったのなら、部下に対しては是非Bの声掛けをしたいものです。Aの場合には、「この案でいい」と言っています。他意はなくともこの表現では、「十分に満足はしていないけれど、妥協して仕方なく選んだ」というような印象を与えてしまいます。部下は妥協で選ばれたように感じられ、素直に喜べません。

 一方、Bの場合には「この案がいい」と言っています。このような言い方になると、何を差し置いても是非採用したいという前向きな気持ちを部下に与えることができます。部下の立場に立てば、「上司は十分に満足してくれた上で案を採用してくれた、ならばその気持ちに応えなければ」と思えます。たった一字の違いですが、日本語では与える印象が大きく違うことがあることを覚えておきましょう。

褒めるときには具体的に、かつ過程を褒めよう

 次に「(是非)この案が良い。早速取り掛かってくれ。」と言う前に、その内容に関して言及して褒めましょう。褒める時は、具体的であることが重要です。たとえば、以下を比べてみましょう。

A.「内容は面白かった。(是非)この案が良い。早速取り掛かってくれ。」
B.「内容の○○が得に良かった。この視点での着想はこれまでに例がなく、現在のトレンドにもマッチしていると思う。(是非)この案が良い。早速取り掛かってくれ。」

 上記を比べた場合、どちらがより良いかは言うまでもないと思います。「良い、悪い」ということを私たちは口にしますが、なぜ良いのか具体性を持たせて言葉掛けをすれば、一層部下は嬉しくなるものです。Aは何が面白かったのか分かりません。Bは十分吟味され、内容も理解したうえでの判断だと部下に伝わります。。声かけは具体的に行いましょう。

 さらに、以下の場合にはどうでしょうか。

A.「内容の○○が得に良かった。この視点での着想はこれまでに例がなく、現在のトレンドにもマッチしていると思う。これまでにない素晴らしい成果だ。(是非)この案が良い。早速取り掛かってくれ。」
B.「内容の○○が得に良かった。この視点での着想はこれまでに例がなく、現在のトレンドにもマッチしていると思う。ここまで調べるのは大変だったと思う。努力の過程が十分伝わった。よく頑張ったな。(是非)この案が良い。早速取り掛かってくれ。」

 どちらを言われても嬉しいに違いありませんが、より好ましいのはBであると言えます。なぜなら、努力の跡を認めているからです。人間は単純な生き物ではありません。成果物が素晴らしくても、素晴らしいと褒められているのは「成果物=モノ」に過ぎません。

 一方、努力の過程に焦点が与えられれば、褒められているものは「部下自身=人間性」です。人間は誰しも自分を認めてほしいと思っている生き物です。それゆえ、成果物を作る過程に焦点を当てて声掛けをする方が、相手はより心の満足感が得られます。この点は非常に重要なので覚えておきましょう。

 日本語は難しく、「てにをは」の一字で相手に与える印象が全く異なります。これは日頃から十分に気を付けましょう。そして声掛けをする時には、具体的にその努力の過程に焦点を当てて声掛けしましょう。その方が部下の気持ちは高まり、上司に認めてもらったと強く感じることができます。そして、その上司に報いるために一層仕事を励んでくれることは間違いありません。是非明日から実践してみてください。

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村上 哲也

村上 哲也

コンサルタント兼ライター。ゼロベースでのコンサルタントには定評があり、担当する顧客とは「戦略」から始め「戦術」まで実行させる本格派。2013年より本業の合間にライター業務も行っており、コンサルタント関係に留まらない幅広い記事の記載を行っている。
http://midorinooka2014.wix.com/business-consulta-jp

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