社員のモチベーションを高めるヒント(第7回)

有名企業にみる働きがいのある職場のつくり方

posted by 株式会社アークコミュニケーションズ

このエントリーをはてなブックマークに追加
Evernoteに保存
印刷

 企業リサーチサイトを運営するヴォーカーズは、毎年1月に「働きがいのある企業ランキング」を発表しています。ランキングは、ウェブサイトに投稿される職場環境に関する評価点を集計する仕組みで、実際に働いている人たちの生の声が反映されます。2016年版で1位に選ばれたのは、洗剤などの一般消費財を製造するP&G(プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン)でした。P&Gはなんと3年連続の1位という快挙を成し遂げ、その秘密は同社が取り組んだ「働き方革命」にあるとされています。

 それでは革命によって、どんなことが実現したのかを具体的にみていきましょう。

ひと月の勤務時間が規定に達していればいい

 従業員が持つポテンシャルを最大限に生かすために、それぞれが働きやすい時間や場所を一定の範囲で決められる。そんな働き方を実現する取り組みとして、P&Gでは2012年からグローバルに「フレックス・アット・ワーク」というシステムを導入しています。同システムは、フレックス、在宅勤務、育児や介護のための時短勤務を組み合わせられるというもので、所属部署の最低限のコアタイムさえ守れば、自分の思い描く働き方を設計することが可能です。日々の勤務を積み重ねて、最終的に1カ月の規定勤務時間に達すれば問題はありません。

 これにひと役買っているのはICT技術です。全社共通のチャットシステムやビデオ会議システム、データをアップできるクラウドストレージといった環境が整備されているので、パソコンさえあれば場所を選ばず働ける仕組みが実現できました。管理職の立場からすれば、部下がきちんと仕事をしているのか不安かもしれませんが、そこは外資系だけあって成果主義が根付いているので大丈夫。責任に担保された自由で、さすがに甘いだけではありません。

働く時間と場所を選べる2つの制度

 さらに2015年から「フレックス・アット・ワーク」を進化させるかたちで、2つの新システムを導入しています。

 ひとつは「コンバインド・ワーク」といって、育児や介護などが理由であれば、1日の就労時間の確保を条件に自宅と会社の両方で勤務できます。1日の就労時間は7時間40分と定められ、会社に最低4時間30分いれば、残りは自宅での仕事が許されます。もうひとつは「ロケーション・フリー・デー」で、こちらは自宅に限らず、会社以外の場所で働ける制度です。セキュリティはもちろん、インターネットや電話などの仕事インフラが整っている国内の場所が用意できれば、そこでの仕事が毎月5日間可能になります。社長が5時半に退社、経営陣の多くが週1の在宅勤務をする会社だけあって、とても先進的な内容です。

仕事の目標と課題が明確に提示される

 これら日本の企業では考えにくい制度を進んで取り入れられる背景には、従業員の業績評価が、会社と従業員の双方納得したかたちで行われるからです。納得した目標が設定されているので、それを守ろうとする意識が生まれ、管理の目が届かないところでも、社員はサボることはありません。仮に仕事に弊害が出てしまったとしても因果応報、あとで直接自分に返ってくるので、とても手は抜けないでしょう。

 業績を評価する方法は明朗で、従業員の一人ひとりが1年間に成し遂げたい優先課題を上司と相談しながら5つ決めて書面化します。そこでなにをもって成功とするのかという評価基準の具体的な数値目標も明記。PDCAサイクルを回しながら年間計画を実行していきます。ノルマや目標が会社の上から押し付けられるものではなく、従業員が自分のこととして考える仕組みです。自社にまったく同じ制度を導入するのがむずかしくても、なんらかのかたちで取り入れたいものです。

トップが積極的にかかわって実現した「働き方の革命」

 P&Gの取り組みは、働き方の革命と評されることがありますが、調べてみると革命といってもおかしくないくらいの斬新な制度の導入に成功していました。革命なら、そこに抵抗する力や考え方、勢力が存在するはずですが、なぜP&Gは成功したのでしょうか。

 第一に、経営サイドと、従業員サイドの強い信頼関係が考えられます。システムを考えるのは経営サイドですから、通常は効率を重視するあまり働く人たちの環境が二の次になりがちです。従業員にとって働きやすい環境を作れば、必ず会社に貢献してくれるはずだと信じとおそうとした心は、なかなかできることではないでしょう。従業員から経営サイドへの信頼もしかりです。第二に、トップが改革に積極的にかかわった点があげられます。かかわる人が多ければ、正しい意見も十人十色で、断固とした意志決定の機関がないと、新しい施策はすぐに立ち消える宿命にあります。トップが強力なリーダーシップをかざさないと実現は相当むずかしいのです。

 いかがでしたか、P&Gの働き方に関する制度は、自由で多様な勤務形態が従業員のモチベーションをアップし、それが生産性の向上につながるという考え方に基づくもの。参考にしてみてはどうでしょう?

このエントリーをはてなブックマークに追加
Evernoteに保存
印刷

連載記事一覧

株式会社アークコミュニケーションズ

株式会社アークコミュニケーションズ

メルマガ登録


「人材不足」を働き方改革で乗り越える


教育機関向け特集


自治体向け特集


イベント・セミナー情報


ICTコンサルティングセンタ

ページトップへ

close