2020.6.12 (Fri)

他人には聞けないICTの“いま”(第39回)

初診の「オンライン診療」解禁、対応病院は1万件に

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 厚生労働省が発表した「新しい生活様式」をはじめ、新型コロナウイルスの影響によって私たちの生活が大きく変わろうとしています。そういった中で、外出せずに医師の診察が受けられる「オンライン診療」が広がりを見せています。オンライン診療によって、医療はどのように変わっていくのでしょうか。

オンライン診療が可能な医療機関は、約1万件にのぼる

 オンライン診療とは、ビデオ通話などインターネット上で行う診察・治療方法です。2020年4月に初診でのオンライン診療が解禁され、厚生労働省のウェブサイトには、オンライン診療が可能な医療機関約1万件のリストが公開されています。

 世界に目を向けると、例えばアメリカでは、新型コロナウイルスの感染拡大前と比較してオンライン診療の件数が30倍ほどに増加すると見込まれています。深刻な医師不足に直面している中国では、オンライン診療アプリの登録者数が3万人を超えたというデータも発表されました。

 新型コロナウイルスの影響で停滞していた経済活動が徐々に再開しつつありますが、まだワクチンや特効薬がない以上、感染症と共存する「Withコロナ」の生活は続きます。さらに日本の場合は、少子高齢化による医療資源不足とも向き合っていかなければいけません。足腰が弱い高齢者や、離島などの医療過疎地で暮らす人々にも効率よく医療を提供できるオンライン診療は、これら社会課題の解決手段としても注目を集めています。

オンライン診療を受けるにはどうすればよいのか?

 オンライン診療は、自宅から一歩も出ることなく、診察から支払い、薬の処方まで、すべてをオンラインで完結させることができます。では、実際に受診するにはどうしたらよいのでしょうか。

 一般的には、厚労省のウェブサイトや専用アプリなどから医療機関を探し、スマートフォン・パソコン・電話などで予約をして、オンラインで診療を受けるという流れになります(電話のみでの診療もオンライン診療に含まれます)。診察は、オンライン診療専用のアプリ、ウェブ会議システム、電話で行われます。診察後に処方される薬は、医師が薬局に送信した処方箋のデータをもとに、薬局が調剤・配送手配。宅配で患者の自宅に届く仕組みになっています。支払いはクレジットカードや電子決済で行うのが一般的です。

 現在は、「セキュリティが担保されている」「予約システムや支払いシステムが含まれている」「電子カルテ・処方箋・ヘルスケア機器などと連動しており情報の共有と管理がしやすい」といった点からアプリが選択されるケースが多いようです。代表的なアプリは、日本初のオンライン診療アプリ「ポケットドクター」、業界シェアが高い「CLINICS(クリニクス)」、「curon(クロン)」、「CARADAオンライン診療」、「YaDoc(ヤードック)」といったものが知られています。

 なお、こういったアプリやサービスの導入を検討している医院で「どのアプリ・サービスを選べばよいかわからない」「手間をかけずに導入したい」という場合は、オンライン診療の導入支援サービスもあります。ネットワーク回線やルータの検討・設置から、アプリの導入、保守メンテナンスまでワンストップで行ってくれるサービスもあり、多忙なクリニックをインフラの面で支援してくれます。

5G普及で、医療を劇的に変える可能性がある

 オンライン診療は、次世代通信規格5Gの普及とともに、今後ますます活用が広がっていくと予測されています。

 高速・大容量で遅延が少ない通信によって、ウェアラブルデバイスなどでリアルタイムに患者をモニタリングしながらの診察や、交通事故などでの緊急手術で現場から離れた場所にいる熟練医が指示やサポートをすることも可能になります。VR(仮想現実)などの技術を使えば、医師が患部の質感なども感じられるようになり、オンラインであっても対面のように診察ができるようになるかもしれません。

 オンライン診療は、医療の未来を支える技術として期待されています。コロナ禍を契機に蓄積されたノウハウと5G時代の到来によって、私たちの生活を大きく変えるかもしれません。

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