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~NTT東日本とともに~

ICTで拓く“新しい農業”のカタチ。ブランド野菜「山形セルリー」の挑戦

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 農家の後継ぎ不足などから日本の農業人口は、減少の一途を辿っています。そんな中で注目を集めるのが情報通信技術(ICT)やロボット技術を活用して、生産の省力化や高品質化をめざす「スマート農業」です。東北随一のセロリの産地である山形市では、JA山形市が中心となりブランド野菜「山形セルリー」の栽培でスマート農業を推進。圃場の湿度、温度、照度といった管理状況をスマートフォンでモニタリングするセンシング技術によって、ベテラン生産者ならではの栽培ノウハウを「見える化」し、新規生産者の育成に役立てています。具体的な話について、JA山形市の方々にお伺いしました。

導入の目的
ブランド野菜「山形セルリー」栽培の支援を行いたい
圃場をモニタリングし、管理負担の軽減と栽培ノウハウの継承へ

JA山形市

  • JA山形市JA山形市

(左から順に)NTT東日本 山形支店 ビジネスイノベーション部 主査 石川 晃、安孫子 誉晃氏、伊藤 理人 部長、鈴木 公俊 課長

出荷額が半減してしまった
「山形セルリー」を復活させたい

――2014年、JA山形市が中心となって、ブランド野菜「山形セルリー」の生産振興をめざすプロジェクトを発足させたとお聞きしました。どのような経緯でプロジェクトが立ち上がったのでしょうか?

鈴木氏:山形セルリーの出荷額がピーク時から半減したことです。山形セルリーの歴史は、1968年から始まります。4人の若手生産者が、当時、野菜の中で最も難しいと言われていたセルリー栽培を山形に持ち込むことに挑戦。第一人者であった故・伊藤仁太郎さん(東京都江戸川区)のもとに留学研修したことがきっかけです。生産者自らがトラックで往復4時間かけて県外市場まで毎日セルリーを運ぶなど、若手生産者の情熱によって山形セルリーは地域に根付き、東北随一のプレミアムブランドとして、1998年には出荷額が約1億1,000万円に達しました。

 しかし生産者が高齢化するとともに、施設園芸の多角化も進み作付面積が徐々に減少。2013年には出荷額が約4,100万円まで落ち込んでしまいました。

 セルリーは水をたくさん欲しがるけれど根腐れしやすく、暑いと葉が焼け、寒いと花を咲かせて商品にならなくなってしまうなど、とてもデリケートな野菜です。加えて栽培期間が長く、種を蒔いてから収穫が始まるまで約半年間、みっちりハウスの環境を管理しなくてはなりません。管理のハードルが高いことで新規生産者も増えない状況でした。

 この状況に危機感を覚え、声をあげたのが、約50年前の若手生産者のひとりで、「セルリー栽培の名人」として知られる曾田和夫さん(70歳)でした。曾田さんは、出荷額や生産者が減り続ける状況を見て「なんとかしなければ」と思ったのでしょう。JA山形市の役員に「このままでは山形のセルリー栽培が消滅してしまう」と相談があり、これをきっかけに、「『山形セルリー』農業みらい基地創生プロジェクト」が立ち上げられました。

――どんなプロジェクトなのでしょうか?

鈴木氏:會田さんが代表を務める生産組織セルリー部会とJA山形市がタッグを組み、山形セルリー栽培において新規生産者の受入や担い手の育成・生産振興と農業所得の増大をめざすプロジェクトです。私たちは栽培環境の整備を担い、これまでに栽培ハウス67棟(約6131坪)、育苗ハウス(約580坪)や、農業用機械、井戸などを整備しました。また2017年には、センサーやネットワーク、オンラインストレージなどのICTで圃場データの見える化を行う「eセンシング For アグリ」を導入。これによって、ベテランの“肌感覚”や“勘”に頼ってきたセルリー栽培に新規生産者でも取り組める環境が整ってきています。

安孫子氏:プロジェクトを開始してから集まってきた新規生産者は20~46歳までの7人です。 2年間、生産指導者である曾田さんらのもとで研修を受けながら栽培ノウハウを身に付けてもらい、その後、100坪の栽培ハウス(農業機械・井戸込み)を1棟あたり年間10万円で貸し出して定着を促しています。今後も環境の整備を推し進め、プロジェクト4ヵ年で、67棟のセルリーハウスを設立・運用する予定です 。

ICTの力で、管理負担の軽減と栽培ノウハウの共有に成功

――「eセンシング For アグリ」導入により新規生産者もセルリー栽培に取り組めるようになったとのことですが、具体的にどのようなメリットが生まれましたか?

安孫子氏:スマートフォンでほぼリアルタイムに、圃場の温度、湿度、照度、土中水分*、土中温度*といったデータを確認することができるので、圃場に出向いて確認する必要がなくなり、管理の負担を大幅に減らすことができるようになりました。

*土中水分、土中温度データの確認はオプションです。

「eセンシングforアグリ」の特長

鈴木氏:また曾田さんを含む生産者全員のデータを共有・比較できることも好評です。曾田さんのセルリーハウスのデータを参考にして圃場の管理をしたり、互いのデータを見比べて検証し合うなど、より効率的に学び合い・教え合いができるようになりました。なにより、ベテラン生産者の経験がデータとして蓄積されることで、年間を通じた栽培ノウハウをマニュアル化する目途がついてきたことはプロジェクトを継続していくために大きな意味があります。

圃場に設置されたセンサー

JAならではの“仕組みづくり”で生産者をサポート

――山形セルリーは、地域の特性と結びついた産品を登録・保護する農林水産省の地理的表示保護制度(GI) に2018年4月に登録されました。こうした認定制度に登録する目的について、お聞かせください。

鈴木氏:第三者が評価する基準や認定制度は、消費者が農産物を選ぶときの目安になりますし、生産者のモチベーションアップにもつながります。GI制度への登録やマークを付して販売するには、栽培の歴史が25年以上あること、産品が地域に根ざしていることや品質管理、生産数や出荷量などを適切に把握する仕組みがあることなど、さまざまな条件が課せられています。

 山形セルリーのGI登録は、全国のセルリー産地においては初。県内での農林水産物などの登録は「米沢牛」「東根さくらんぼ」に続く3例目となります。今後は、山形県を代表する農産物として全国に発信していきたいと考えています。

安孫子氏:2018年9月には、JGAP(Japan Good Agricultural Practice)認証も取得しました。JGAPの審査員による現地調査もあり、「eセンシング For アグリ」による生産管理についても質問されました。全国的にもまだ例が少ない取り組みに、興味を持っていただいている様子が伝わってきました。GAPとは、「食の安全」と「環境保全」への取り組みを行っている農家や企業への認定基準です。おそらく山形セルリーが、GIとGAP、ふたつの認証を取得した全国初の農産物なのではないかと思います。

――プロジェクトを開始した2014年から山形セルリーの出荷額は回復を続け、昨年は7,800万円台になっています。

鈴木氏:2020年までに5haの農地を借り上げ、出荷額をピーク時の1.5倍まで増やす計画となっています。私たちJAに求められる仕事は、認定制度を取得したり、生産の発展を促す枠組みなど、“栽培・生産を取り巻く仕組みづくり”によって生産者を支えることだと思います。先進農家では、新規の研修生5人の受け入れがすでにスタートしています。今後も新規生産者を増やし、質の高い山形セルリーを安定的に供給することで、その魅力を消費者に知ってもらう、そんな仕組みをつくり続けたいと考えています 。

*導入サービス:「eセンシング For アグリ」、「フレッツ・あずけ~る」、「フレッツ 光ネクスト」、「フレッツ・VPN ワイド」(いずれも2017年12月導入)

*文中に記載の組織名・所属・肩書き・取材内容などは、全て2018年10月時点(インタビュー時点)のものです。

*上記事例はあくまでも一例であり、すべてのお客さまについて同様の効果があることを保証するものではありません。

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導入サービス eセンシング For アグリ、フレッツ・あずけ~る、フレッツ 光ネクスト、フレッツ・VPN ワイド
導入時期 2017年12月
お客さま名 山形市農業協同組合
事業内容 山形市内において、農業者経営支援、金融、不動産、福祉など地域に根ざした事業を多角的に行っている。農産物については米(のんきな殿様)セルリ(山形セルリー)などのブランド化を推進する。山形セルリーについては2018年度GI・JGAPを取得。
事業所 山形県山形市幸町
組合員数 5,883人(2017年12月現在)
URL http://www.jayamagatashi.or.jp/index.html
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