生き残る大学となるために(第1回)

大学ブランド・イメージ調査に見る“一芸”の強み

posted by 日経BPコンサルティング

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 大学のブランド力を向上させるには、どのようにしたらよいでしょうか。全国9地域、456の大学を調査対象に、各地域に居住する、ビジネスパーソンや中学生以上の子どもがいる父母、教育関連従事者に回答を依頼した「大学ブランド・イメージ調査 2018-2019」(日経BPコンサルティング)によると、各地域の総合ランキング第1位は、東京大学や京都大学、北海道大学、東北大学、九州大学などのいわゆる“旧帝国大学”が占めています。そのほかの地域でも、筑波大学や信州大学、金沢大学、名古屋大学、広島大学など知名度の高い国立大学が上位にランキングしています。

「知名度の高さ」と「大学の注目度」は違う

 このランキングは、「地域産業への貢献度」や「研究施設の充実度」、学生の「語学力」や「コミュニケーション能力の高さ」、大学や学生に対する認知など49のイメージ項目を測定し、「大学ブランド力」を算出してランキング化しています。

 前述した知名度の高い国立大学のほか、慶應義塾大学、早稲田大学、同志社大学といった“名門”私立大学が、多くの地域で上位を占めています。一方、49のイメージ項目それぞれを見ていくと、各地域の“一芸”に秀でた大学が上位に登場するなど興味深い結果も見て取れます。

 例えば「いま注目されている、旬である」というイメージ項目では、「東北編」で国際教養大学、「甲信越編」で長野県立大学、「九州・沖縄・山口編」で立命館アジア太平洋大学が第1位。総合ランキングでは上位に入らない大学でも、一芸に秀でていれば各地域で注目を集められることが分かります。

 国際教養大学は授業をすべて英語で行い、「英語で学び、英語で考える大学」という点が評価されたようです。TES Global社とベネッセホールディングスによる調査「THE世界大学ランキング 日本版」でも2項目で第1位を獲得しました。次に長野県立大学が上位にランキングされた要因は、2018年4月の開学に伴う報道だけでなく、企業や自治体との連携などが継続的に話題となったためだと考えられます。また、立命館アジア太平洋大学は、2018年1月にライフネット生命保険創業者の出口治明氏が学長に就任し、企業経営の経験を生かした大学運営に注目が集まった結果と考えられます。

 「北海道編」では、総合第1位の北海道大学が49項目中36項目で1位になる中、公立はこだて未来大学が「いま注目されている、旬である」の第1位になりました。同学は、社会的に「AI(人工知能)」の進化や実用化に注目が集まる中、長くその分野の研究に注力しています。そうした取り組みの一つとして、AIに小説を創作させるプロジェクトから生まれた作品が、人工知能も応募可能な文学賞「星新一賞」の一次審査を通過したことが話題となりました。こうした成果がメディアにも取り上げられ、ランキングを押し上げたと考えられます。

「キャンパスのIT化」も“一芸”になる

 IT環境の整備も、大学のブランド力強化に貢献しています。イメージ項目の一つである「キャンパスのデジタル化が進んでいる」の結果では、北海道科学大学、筑波大学、新潟国際情報大学、工学院大学、愛知工業大学、大阪電気通信大学、福岡工業大学といった、工業系・電機系・情報通信系のイメージが強い大学が各地域で第1位にランキングされました。

 「東北編」の第1位は、福島県会津若松市に本部を置く公立大学の会津大学です。コンピュータ理工学部・コンピュータ理工学科しかないコンピュータ専門大学という、まさに“一芸”に秀でた特色を持った大学で、直近7回の調査で同項目の1位に選出されています。「東北編」の総合ランキングでは第12位と決して高い順位ではありませんが、「他大学にはない魅力がある」というイメージ項目でも第1位を獲得するなど、特定のイメージ項目でのブランド力の高さは特筆すべきものがあります。

 同学はコンピューターサイエンス領域では、学生数、研究者数ともに全国1位。大学発ベンチャーが27社も生まれ、売上規模は約20億円にまで成長して地元企業との連携によって約400人の雇用を創出しました。人材育成に関する取り組みが評価され、総務省の「情報通信政策部会 IoT新時代の未来づくり検討委員会」の「人づくりワーキンググループ」でも取り上げられたほどです。同学が公式サイトで宣言する「新しい時代の『知』を創造するコンピュータサイエンティストと、高いコンピュータスキルを持ったエンジニアを育てます。」を実践しているといえるでしょう。

 学内には学生数を大きく上回る約3000台のコンピュータが設置されているほか、学内のほぼ全域で無線LANが24時間利用できる環境が整備されています。2018年4月には、AIに関する技術的課題の解決や人材育成力の強化を目的に会津大学AIセンターを設置するなど、社会的・技術的な変化や新たなニーズにも対応しています。

 学生数は1040人と決して規模の大きな大学ではありませんが、在学生の半数以上が県外から集まっています。教員も国内外から優秀な人材が集結し、約4割が外国籍です。海外69の大学・研究機関と共同研究を行うなど、その魅力は東北地方から全国、全世界に伝わっています。

 2018年から、18歳以下の人口が減少に転じます。受験生やその保護者にとって魅力的な進学先として認知されるために、大学のブランド力はこれまで以上に重要になってきます。ブランド力強化は一朝一夕にはなしえません。ですが“一芸”に秀でることは、地域での存在感や認知度を高めるなど、即効性のあるブランド強化策の一つといえるでしょう。

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