2019.3.19 (Tue)

求められる自治体の生産性(第2回)

異動の多い自治体こそ手軽な自動化ツールRPAの導入を

posted by 岩元 直久

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 自治体であれ一般企業であれ、異動に伴う業務の引き継ぎをスムーズに進めるのは困難を伴います。知識や経験を重ねた前任者から、畑違いの分野に飛び込んできた後任者に、すぐ同様のレベルで業務をこなせといっても無理というもの。自治体などのように定期的な人事異動が避けられない職場では、業務ノウハウをスムーズに継承する仕掛けを考えておくべきです。そこでキーワードになるのが、業務の「見える化」です。

異動に備えて業務の“見える化”と“棚卸し”を

 職員個人や部課ごとに、見える化を実行しているケースはあります。ですが、全体の活動として見える化を推し進めるのが重要です。どの部署に異動になっても、業務が見える化され、課題や解決策が明らかになっていれば、効率的に業務を引き継げるといえます。

 業務を見える化すると同時に、現在抱えている業務の意義や内容を精査する「業務の棚卸し」も重要性が高いです。

 見える化・棚卸しは現担当者単独で行うのではなく、上長や前任者などと共同で行いたいものです。本質を見直さずに引き継ぎが繰り返されるほど、見える化や棚卸しはやりづらくなります。

見える化・棚卸しした業務は自動化と相性が良い

 どんな業務があるのか、何をしているのか、その重要性や他の業務との関連性はどうか――。業務を見える化・棚卸しし、業務マニュアルを作成しておけば、業務品質のチェックにも活用できます。円滑な継承とともに、ノウハウがきちんと継承され、サービスレベルの低下を招かずに済むわけです。

 ここで、ちょっと視点を変えてみましょう。必要な業務が整理され、作業指示がきちんとマニュアル化できていたら、業務によっては職員が直接手を介さずとも自動化できないでしょうか。

 自治体であっても、今は多くの業務がパソコンやシステムを利用して行われます。マニュアル化されたパソコン上で実施する業務ならば、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)と呼ばれる仕組みを使えば、自動化できる可能性が高いです。RPAはコンピューター上の操作や処理を人手に代わって実行してくれる、ソフトウエアです。業務を精査してマニュアル化されている業務なら手順が明確になっているので、RPAにその作業の流れを教え込んで自動化できます。

 このように自動化できれば、業務全体の効率化につながります。細かな手順、繰り返し作業におけるミスなどは、RPAならば起こしません。いわゆる単純“作業”の継承はRPAに任せて、人間の担当者は本質的な業務である課題解決やサービス向上に取り組めます。新しい視点を取り入れて、業務改善や新サービス創出といった課題解決が行われれば、定期人事異動を行う効果も顕在化してくるでしょう。

 またRPA導入を推進すると、副次的なメリットも期待できます。RPAの導入を検討したある自治体では、RPAへの業務移行を目的に業務の棚卸しを行いました。すると、表計算ソフトなどの一般的な市販パソコンソフトの機能だけで、効率化が可能な業務が数多く見つかりました。RPA導入による業務効率化が目的でしたが、そのための棚卸しの過程で業務の整理整頓、より容易な手段で効率化が実現できたのです。処理や手順が複雑な業務だけをRPAで自動化し、全体として高い業務効率化が可能になったといいます。

 こうしたメリットの多いRPAですが、以前と比べて、容易に導入できるようになっています。

 異動に備えた業務の見える化・棚卸しは、業務継承や効率化を推進する「準備」となります。一方で、RPAの導入する際には、業務を見える化、マニュアル化する必要が生じ、業務の無駄や効率化のポイントを浮かび上がらせます。RPAによる自動化の検討は、普段なかなか進まない業務の見える化・棚卸しの強力なきっかけにもなるといえます。

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岩元 直久

岩元 直久

日経BP社でIT、ネットワーク、パソコンなどの分野の雑誌、ウェブ媒体の記者、デスクを歴任。モバイル分野については、黎明期から取材・執筆を続けている。フリーランスとして独立後は、モバイル、ネットワークなどITを中心に取材・執筆を行う。

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