企業のデジタルシフト(第5回)

企業規模で温度差。パブリッククラウド実態調査2019

posted by 日経BPコンサルティング

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 近年、業務の効率化や生産性向上などを目的として、企業における「パブリッククラウド」導入に期待が寄せられています。パブリッククラウドとは、専用のハードウエアを所有せずとも、必要なストレージやアプリケーションなど、各種ICTリソースを利用できるクラウド活用のことです。クラウド上のリソースを共同で使うのが特徴です。企業のパブリッククラウドは、どの程度活用が進んでいるのでしょうか。導入に対する企業の意向や状況、選定基準を見ていきましょう(調査は日経BPコンサルティングが3483人を対象に2019年3月実施)。

企業の過半数がパブリッククラウドの利用に関心

 パブリッククラウドを導入している企業は、「全社的に利用している」「一部の事業所または部門で利用している」を含めると35.1%。およそ3社に1社は、導入済みの計算になります。また、「今後利用する予定がある」「必要性を感じるが未検討」という未導入だが導入意向のある層は19.7%でした。これらを合わせた、必要性を感じている企業は54.8%と、半数以上の企業がパブリッククラウドに関心を寄せていることがわかります。

【図1 パブリッククラウドの導入状況】(n=1394、単一回答)

 では、実際に企業が利用するパブリッククラウドサービスの内容に目を向けてみましょう。1位は、「ファイルサーバー・ストレージ利用」で17.3%。続く2位以降は、「現行システムのクラウド化」(15.6%)、「情報の一元管理」(7.6%)「働き方改革(テレワーク・在宅勤務)」(6.8%)「BCP対策」(6.3%)という結果が得られました。

【図2 利用中のパブリッククラウドサービス】(n=2013、2つまで回答)

 企業がパブリッククラウドに期待する効果とは、一体どのようなものでしょうか。「機器・場所によらずサービスを利用可能」(21.7%)、「災害時のバックアップとなる」(19.8%)、「資産、保守体制を持つ必要がない」(17.9%)が上位を占めています。ICTサービスのフレキシブルな利活用や、社員の生産性や効率を高めるテレワーク・在宅勤務の推進、災害時のBCP対策を重視する姿が浮かび上がります。

【図3 パブリッククラウドに期待する効果】(n=2013、2つまで回答)

企業規模により導入状況に差が

 企業の規模別にパブリッククラウドの導入状況を見ていくとどうでしょうか。「全社的に利用している」が5000人以上1万人未満の企業で31.1%、続いて1万人以上の企業が28.1%でトップ2となりました。「一部の事業所または部門で利用している」では1位が1万人以上の企業で38.0%、2位が5000人以上1万人未満の企業で35.6%となりました。全体結果と比較してもそれぞれの項目で10~20ポイント程度の差があります。大企業のほうが、積極的な導入が進んでいる様子が分かります。一般的に企業規模が大きくなるほど、ビジネスの拠点数や従業員数も増え、売上管理や労務管理も複雑となります。パブリッククラウドの導入・運用にもさまざまな壁が生じますが、積極的にパブリッククラウドの検討・利用が進められているようです。

 一方、「利用しておらず利用予定もない」の項目では、従業員数300人未満の企業でぐっと選択率が高まります。100人未満の企業がダントツに高く70.2%、次いで300人未満の企業が42.2%となり、中小企業がパブリッククラウドの導入に積極的ではない傾向が見えてきます。

【図4 企業規模別パブリッククラウドの導入状況】(単一回答)

 導入をためらう理由の比率として高かったものの1位は「コストがかさむ」で、24.0%でした。これに、「情報漏洩などセキュリティに不安がある」「既存のシステムの改修に手間がかかる」が続きます。確かに、新たなシステムの導入には、一定の費用がかることはもちろん、従業員の操作訓練や心理的なスイッチングコストも必要となります。

 しかし、パブリッククラウドは、サーバーやストレージのリソース不足に迅速に対応でき、テレワークに代表される多様な働き方が実現可能で、さらにサーバーのメンテナンスなどの運用面をサービス提供会社に任せられます。セキュリティ面においても、提供会社自体が強化に取り組むだけでなく、それを客観的に評価する制度である「ISMSクラウドセキュリティ認証」が発足するなど、安定性が日々高められています。一概に、「コストに見合わない」と判断せず、情報を集め一考する価値はあるでしょう。

【図5 利用していない理由】(n=793、複数回答)

 次に、企業のパブリッククラウドを提供するベンダー選定についてポイントとなる部分を見ていきましょう。調査では以下の結果が出ています。

 まず、選定基準の1位は「信頼性の高いサービスを提供している」で37.8%。2位は「保守運用、導入後のサポートが優れている」で34.9%でした。また、3位以降は「実績が豊富」(20.3%)、「技術力が高い」(19.9%)、「設計から構築、運用までワンストップで応えてくれる」(16.1%)といった項目が並びます。サービスそのものの信頼性はもちろん、システムの導入後のサポート体制の選択比率の高さから、システムベンダーを“一時的”な付き合いとは捉えていない様子が分かります。

【図6 ベンダーの選定基準】(n=789、2つまで回答)

 今後、労働力不足や働き方改革のさらなる進展などにより、ますます業務効率化や生産性向上が企業の課題となります。その一方で、中堅・中小企業では社内システムを管理する情報システム担当者が1人以下の体制で運営する「ひとり情シス」「ゼロ情シス」の割合も増加し、経営に影響を与えかねないICT人材の不足も起きています。

 業務効率化・生産性向上にICTの活用が不可欠となっている現在、人材不足などに対応するためにも、パブリッククラウド利用は一つの選択肢といえます。導入を考える企業にとっては、サポート体制やサービス品質の確かな信頼性の高い ベンダーを選定することが、クラウド活用の成否のカギとなります。特に、クラウド利用にはネットワークが欠かせません。ネットワーク関連のノウハウを持つベンダーが強い味方となるでしょう。

 

NTT東日本の取り組み

パブリッククラウド導入により、BCP(事業継続計画)対策や働き方改革の推進

コスト最適化や運用負荷軽減などを目的とした「パブリッククラウド」の利活用に注目が集まっています。近年ではBCP対策が求められる基幹システムへの採用に加え、テレワークの推進にも、パブリッククラウドが注目されています。

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