中国のスマートフォン事情を知る

中国のスマートフォン事情を知れば、ビジネスが見えてくる

posted by 山谷 剛史

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 中国ではスマートフォンが一般に普及し、飲食店検索など、老若男女を問わず活用しています。そんな中国国内のスマートフォン事情をチェックする事で、これからの中国からのインバウンドビジネスにおけるヒントが見えてくるかもしれません。爆買いブームは収束したものの、依然として増え続けている中国からの観光客をどのように惹き付けるかを探っていきましょう。

「爆買い」はなりを潜めたが、訪日中国人客は増加を続ける

 最近、円高や中国政府による関税引き上げ措置などの影響で訪日中国人客の「爆買い」が減少し、国内の免税店の閉店などが話題にのぼっています。事実、これまで右肩上がりだった訪日中国人の一人当たりの一回の旅行支出額が、2016年には前年比18.4%も減少※1しました。これを見ると中国人の訪日ブームが去ったように感じられますが、実は中国からの観光客数は2015年が約490万人だったのに対し、2016年には約630万人と増加している※2のです。

 これは、訪日中国人の旅行目的が変化していることが大きいでしょう。中国でも個人旅行が一般的となり、海外での「買い物」主体から「体験」へ、つまり、ものにお金を使う旅行に加え、目的地や道中で消費するスタイルが増えてきているのです。たとえば、日本を象徴する温泉地や桜の花見、また中国で人気の出た日本のアニメや映画の舞台を訪れる「聖地巡礼」がこれにあたるでしょう。

中国のスマートフォン事情から、傾向を探る

 さて、ここで中国でのスマートフォン事情を見てみましょう。中国では、年配の方でも積極的にスマートフォンを利用しています。老若男女を問わず多くの人が日常的に親しんでいる点がポイントです。SNSでチャットしたり、インターネットで情報を収集したり、あまりに皆がスマートフォンに見入るので、「低頭族」ということばもあるほどです。これは、スマートフォンの販売台数に如実に表れており、2016年には中国国内で4億台を超える※3売り上げを記録しています。つまり、中国の人々にとってスマートフォンやアプリを使うことは、もはや生活の一部となりつつあるのです。

 そんな中でも「WeChat」(微信、中国・テンセント社が提供)と呼ばれるSNSチャットアプリは、中国でもっとも多くの人に使われているスマートフォンアプリ※4で、2016年12月現在で約8.8億人※5 が利用しています。

 そして、WeChatには「WeChat Payment」(微信支付)という決済機能が付属しており、4億人※6 もの人々が日常的に利用しています。店舗、レストラン、タクシーなど、街じゅうのいたるところでキャッシュレスで支払う光景が当たり前になっています。

 WeChat Paymentは、QRコードを使った決済システムで、QRコードを読み取ることができるスマートフォンであれば利用することができます。QRコードは1分ごとに更新されるため悪用される危険が抑えられていることに加え、未だに偽札が多く出回っている中国で、現金のやりとりなしに決済できる仕組みは店舗にとって導入するメリットが高いと考えられます。また、利用者にとってもスキミング被害のリスクがあるクレジットカードや盗難リスクのある現金に比べてより安全性の高い決済方式といえるのではないでしょうか。日本ではNFC(Felica)チップを使った電子マネーが普及拡大していますが、中国ではスマートフォンへのNFCチップの搭載が不要な、QRコードを使った方法が主流となっています。

訪日中国人客を引き込むための環境整備、ポイントはWi-Fiとスマートフォン決済

 このようにスマートフォンやスマートフォン決済に慣れ親しんだ中国人が日本に来た際、中国国内で身についたスマートフォンの利用や便利な決済手段を使いたいと思うのは自然な流れでしょう。

 中国では、各都市のショッピングセンター、地下鉄駅、空港、店舗などさまざまな場所で無料のWi-Fi接続サービスが提供されはじめています。中国の全人大(全国人民代表大会)での「通信料の無償化」という話題もこのような国民的なスマートフォンの利用の流れあってのことです。中国の人々はWeChatを使ったチャット、訪れたスポットの話題やショッピングで買った商品の共有を行うための通信環境を常に求めており、そのため無料Wi-Fiの有無は店舗を利用するための判断材料のひとつになっているのです。

 このような流れを受ければ、日本国内での訪日中国人客の迎え方も見えてきます。まずWi-Fi。日本国内では携帯通信事業者の無線通信網の発達が著しいため、どちらかといえば無料Wi-Fi環境の整備はあまり進んでいなかったという背景があります。そのため、訪日外国人旅行者を対象としたアンケートでも、旅行中に困ったことの上位に「無料公衆無線LAN環境」があがっています。※7 このことからも、インターネットに無料で接続できる環境を整えることは、訪日中国人客の印象アップにもつながるといえるでしょう。

 NTT東日本の「ギガらくWi-Fi」※01なら詳しい担当者がいなくても業務用とお客様用のアクセスを安全に振り分けて利用できる環境を簡単に導入※02できます。「ギガらくWi-Fi」は、現在最新の暗号化方式(WPA2-PSK)を採用。安心してWi-Fiを利用することができます。また、設定済みのWi-Fiアクセスポイント装置が届くので、電源コードとLANケーブルを挿すだけの簡単設置※03ですぐに使えます。そして「接続できない」などのトラブルも遠隔で迅速にサポートする体制が整っています。※04

 そしてもう一つのポイントが、4億人もの人々が使用しているスマートフォン決済「WeChat Payment」です。中国からのお客さまが日常的に利用しているキャッシュレスで買い物を楽しむためのこの仕組みを利用しない手はありません。観光庁は2020年の訪日外国人観光客の目標人数を4000万人※8(2015年の約2倍)とする計画を発表しました。各国への訪日プロモーションの強化も予定されており、訪日外国人の約4分の1を占める中国人客も更に増加することが予想されます。このようなインバウンド環境の変化のなか、中国からの観光客を引き込むために、スマートな決済方法を準備しておくことは大きなアドバンテージとなるでしょう。

※01:Wi-Fiをご利用になる際は、第三者による情報の改ざん・なりすましなどを防止するために、セキュリティ機能(通信の暗号化など)の設定を行ってください。Wi-Fi区間に電波を通しにくい遮へい物がある場合、同じ無線周波数帯を使用する機器が存在する場合など、ご利用環境によって通信ができない、または通信速度が大幅に低下することがあります。

※02:ギガらくWi-Fiのご利用には、フレッツ光などによるインターネット接続環境およびブロードバンドルーターが必要です。

※03:既設のLANで固定IPアドレスを利用しているなど、お客さまの既存の設定内容によっては、別途お客さまにて設定の変更が必要となる場合があります。

※04:※メーカーの公式サポートが終了した端末のWi-Fi設定など、お問い合わせの内容によっては、対応できない場合があります。お問い合わせを遅延なく受け付けること、お客さまの問題・課題などに対する解決を保証するものではありません。

※1:観光庁「訪日外国人消費動向調査」(2017年3月31日)
※2:日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数(総数)」(2017年3月)
※3:GfKジャパン社「2016年第4四半期スマートフォンのグローバル販売動向」(2017年2月16日)
※4:Trustdata社「MAUモバイルアプリTOP20」(2016年10月)
※5:テンセント社「2016年12月期決算報告」(2017年3月22日)
※6:2015年7月現在、日本経済新聞「中国テンセント、日本でスマホ決済」(2015年7月10日付)
※7:観光庁「受入環境について訪日外国人旅行者にアンケート調査を行いました」(2017年2月7日)
※8:観光庁「訪日外国人旅行者の受入環境整備」(2017年3月30日)

 

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山谷 剛史

山谷 剛史

中国やアジアのITに特化したフリーランスライター。中国やアジアのITやトレンドを紹介する連載が多数ある。著書に「中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立」(星海社新書)など

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