【特別企画】スペシャルインタビュー「あの有名人が語る!」(第27回)

コシノジュンコ流「異業種交流から始まる顧客開拓」

posted by 秋山 由香

このエントリーをはてなブックマークに追加
Evernoteに保存
印刷

 19歳のときに「新人デザイナーの登竜門」と言われる装苑賞を受賞し、以来、業界の第一線で活躍し続けているのがデザイナーのコシノジュンコ氏だ。洋裁店を営む母親のもとで育ち、幼い頃からファッションに触れ、姉のヒロコ氏・妹のミチコ氏とともに世界的なデザイナーとして、常に斬新なアイディアを発信し続けている。

 近年は、お笑い芸人のブルゾンちえみ氏と親子役で共演したNTTドコモのテレビCMが話題になった。また、2020年東京五輪組織委員会の文化・教育委員を務めるなど、ファッションだけに留まらない幅広い活動を精力的に行っている。

 ベテランの凄みと少女のような好奇心を併せ持ち、次から次へと新しい取り組みに挑戦する、まさに“働く女性のパイオニア”。そんなジュンコ氏に、ビジネスが生まれる場の作り方や、人の心を動かすおもてなしの方法などについてお聞きした。

ファッションに憧れを抱けず、画家を目指していた学生時代

――コシノジュンコさんといえば、史上最年少での装苑賞受賞や、鮮烈なパリコレデビューなどのキャリアがまず浮かびます。また、お母さまはNHK朝の連続テレビ小説「カーネーション」の主人公のモデルにもなった小篠綾子さんですよね。幼い頃から洋裁店を営む母のもとで育ち、姉・妹とともに3姉妹揃ってファッションデザイナーとして活躍するという、まさにファッションの申し子というイメージがあります。いつ頃から、ファッションデザイナーになることを意識し始めたのでしょうか?

 それが昔は、画家になることを目指していたんです。「カーネーション」でも描かれていますが、私の実家は大阪・岸和田の洋裁店でした。身の周りにいつも生地があり、服があり、デザインや裁縫の道具があったため、かえってファッションに憧れを抱けなくなってしまって……。当時は美大に入ろうと絵の勉強ばかりしていたんですよ。

 ところが高校2年生のとき、信頼する美術の先生が私の油絵をとても誉めてくださって、「お母さんの作るものと似たところがある。どうしてお母さんと同じ方向に行かないの?」とおっしゃったんです。その言葉を聞いて、突然、「そう言われればそうだよなあ」「やっぱり、そうなんだなあ」と、なんだかとても腑に落ちたような気持ちになりました。

 母や姉妹から「ファッションの方向に進みなさい」と言われていたらきっと反発していたと思うのですが、先生に、なにかこう、ふっと当たり前のように言われたので、ストンと腹に落ちたんですよね。それからファッションというものを意識するようになったような気がします。

――画家志望だったとは意外です。高校2年生の頃からファッションを意識し始めたとのことですが、そこから方向転換をしてうまくいったのでしょうか?

 画家もファッションデザイナーも「絵を描くこと」「デザインすること」が核になる職業ですから、特に苦労はしませんでしたね。高校を卒業して文化服装学院に進学し、スタイル画の先生のもとに弟子入りして、1年もしないうちに装苑賞を受賞しました。21歳のとき、銀座小松ストアー(現・ギンザコマツ)の売り場の一角に小さなお店を出店。当時は若いからとナメられないように、伊達メガネをかけ、大人びた服を着て、年齢を「25歳ぐらいよ」なんてボカして仕事をしていたんですよ(笑)。お客さまからは「ベビーギャングちゃん」なんて呼ばれて、可愛がっていただきました。

あえて異業種の人々と交わることで、顧客を開拓した

――21歳という若さでお店を持ったとのことですが、顧客はどのようにして開拓していったのでしょうか。どなたかからお店を引き継いだとか、別に経営者がいたとかではなく、ゼロからのスタートだったわけですよね?

 お客さまとは遊びのなかで知り合ったような感じです。当時は新宿2丁目が、今でいう銀座や表参道のような最先端の街でした。ジャズが新しい時代で、新宿2丁目のジャズ喫茶には、グラフィックデザイナーやフォトグラファー、建築家、外国人クリエイターなど、一流を目指すカッコいい人たちが集まっていたんですよ。

 ファッション業界の人は、ほとんどいらっしゃらなかったんじゃないかしら。女性もほとんどいませんでしたね。異業種の、プロを目指す、面白い人たちが集まる場だったからこそ、刺激や交流が生まれ、新しい仕事に発展していったのだと思います。ここで出会った人やそのお友だちがお客さまになってくださり、どんどん仕事が広がっていきました。

 業界というのは、とても狭くて閉鎖的なもの。そこに留まっていたのでは、新しいものは生まれません。むしろ、業界の人がいないところを選んで出かけるぐらいでなくてはダメ。だいたい、同じ業界の人じゃお客さまになってはくれないでしょう? ミュージシャンだから「衣裳を作ってほしい」と声をかけてくれ、フォトグラファーだから「撮影用の服をデザインしてほしい」と依頼してくださるのです。

 仕事は、遊びのなかから生まれるもの。「仕事で一流になることを目指している人」「目がキラキラと輝いている人」、そんな人たちが集う場で“遊ぶ”ことが、とても大切だと思います。

お客さまとよい関係を築くには、徹底したおもてなしが欠かせない

このエントリーをはてなブックマークに追加
Evernoteに保存
印刷

連載記事一覧

秋山 由香

秋山 由香

メルマガ登録


スペシャルインタビュー


成功企業の戦略

ページトップへ