【特別企画】スペシャルインタビュー「あの有名人が語る!」(第25回)

「読者のことを考えるのは傲慢」羽田圭介の気構え

posted by 秋山 由香

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 2015年、小説「スクラップ・アンド・ビルド」で芥川賞を受賞した小説家といえば、羽田圭介である。同年の芥川賞では、お笑い芸人・又吉直樹氏が受賞したことが大きく報じられたが、同時に羽田の独特のキャラクターも注目され、一躍テレビの人気者となった。

 羽田は現在も、人気テレビ番組「ローカル路線バス乗り継ぎの旅Z」に出演しており、羽田に対し“テレビタレント”というイメージを抱いている人も多いかもしれない。しかし、羽田は17歳の若さで文壇デビューを果たし、しかもそのデビュー作で文学賞を受賞するという、華々しい経歴を持つ小説家である。芥川賞受賞後も、『コンテクスト・オブ・ザ・デッド』『成功者K』といった作品を上梓。文筆活動とメディア出演を並行して続けている。

 なぜ羽田圭介は、小説家という道を歩み始めたのか?前編では、小説家になった原点と、小説を執筆する際、テレビに出演する際の「こだわり」を聞いた。

小説って、ただ文章を書けばいいだけじゃん

――羽田さんは17歳の時に発表した「黒冷水」で、河出書房新社が主催する「文藝賞」を、当時最年少で受賞しましたが、そもそも、なぜ小説を書こうと思ったのでしょうか? もともと小説家になるのが夢だったのでしょうか?

 本をたくさん読んでいるうちに「これだけ読んでいるんだから、書いてもいいんじゃないか」と思うようになったのがきっかけです。当時は埼玉の自宅から東京の私立高校に通っていたため、通学に時間がかかっていたんですよね。時間をつぶすために仕方なく本を読むようになり、気が付いたら、三日に一冊くらいのペースで本を読むようになっていました。

 それから図書館に行って、小説家になるための本、みたいな指南書を読み、「小説って、書く側にまわることもできるんだな」ということに気が付いて……。そこから、なんとなく意識するようになりました。

 ただ、強い衝動にかられいきなり小説を書く、ということにはなりませんでした。若くしてデビューした純文学小説家の方は「私は書かずにはいられなかった」みたいな気質の方が多いようですが、僕は「出版社の経費を使ってあちらこちらに行って文章を書いたりして、小説家っていい仕事だなあ」ぐらいのノリ。書き出せばいずれなれるであろう職業という位置づけでした。

――なにか強い衝動に突き動かされた、というわけではなかったのですね。なぜ17歳という若さで小説家デビューができたのでしょうか?

 高1のときに2学年上の綿矢りささんが文藝賞を受賞されたと知って、「ああ、こんなことをやってのけちゃう人がいるんだ。じゃあ自分も実際に書いてみて、17歳でデビューするか」という感じで取り組み、書いて、応募したことが、結果につながっただけです。

 「小説家になる」ということのハードルがとても低いと思っていたんです。「小説って、読書を通じて学んだなんとなくの小説的ルールに従い、文章を書けばいいだけじゃん」と思っていました。若いからナメまくっていて、しかもすごく強気だったんですよね。

 でもそれって、間違いじゃないんです。夢みたいな目標は叶わないような気がします。ひどく具体的な目標の連続というレベルにまで落とし込まない限り、実現しないんじゃないでしょうか。僕にとって「小説家になる」というのは、決して夢などという大それたものではなかった。淡々と、具体的に、ただやるべきことでした。

自分一人で客観的になれない人は、うまくいかない

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