【特別企画】スペシャルインタビュー「あの有名人が語る!」(第23回)

「経験が必ずしもプラスにならない」羽生善治の心構

posted by 片岡 義明

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 将棋界において、1年のうちに7大タイトルを同時制覇や、6タイトルで連続制覇による永世六冠獲得など前人未踏の記録を残し、今もなおトップ棋士として活躍し続けている羽生善治氏。小学生のときにプロ棋士の登竜門である奨励会の入会試験に合格し、史上3人目の中学生棋士となった羽生氏は、デビュー後も順調に勝利を重ねて昇級し、4年目で初タイトルを獲得した。

 以後、数々の記録を打ち立ててきた羽生氏は、これまで困難な局面においてどのように対処し、厳しい戦いを勝ち抜いてきたのだろうか。長年にわたって将棋界のトップの座を維持し続けてきた経験から勝負の哲学を聞くと、その心構えにはビジスネ・シーンに活きるヒントが多くあった。

最初の3カ月はまったく勝てなかった

――将棋に出会ったのは小学校1年生のときとお聞きしましたが、どのような点に面白さを感じたのでしょうか。

 初めて将棋の大会に出たのは小学校2年生の夏休みの大会でした。1勝2敗で負けて予選落ちしてしまったのですが、その楽しさに魅せられて、将棋の道場に通い始めました。当時はほかにも色々な遊びをしていましたが、将棋だけは「こういう風にやればうまくなる」という方法論がよくわからなくて、そこに面白さを感じていました。

 将棋道場に通い始めてからも、最初の3カ月は1回も勝てませんでした。普通は10級くらいのクラスから始めるのに、あまりにも弱すぎるので15級からスタートして、それでも勝てない。でも、たとえ勝てなくても道場に行くのはとても楽しみにしていました。どんどん勝てるようになってきたのは1年くらい経ってからですね。それからは大会に参加するのが楽しくなってきました。

 その後、小学校5年生のときに師匠(二上達也氏)に入門して、6年生の春のときに小学生大会で全国チャンピオンになったのですが、それを師匠に報告したら「アマチュアとプロは違うので油断しないように」と言われて、その年の秋に奨励会の入会試験を受けることにしました。

 奨励会の在籍期間は3年で、割とスムーズにプロになることができましたが、これは現在と制度が少し違っていて、当時は一定の成績さえ取れれば何人でも昇段できるシステムだったからです。今は昇段できるのが1年に4人までと制限されているので、昔よりもはるかに厳しいと思います。

――プロになってから、タイトルに挑戦できるA級に上がるまでは7年かかっていますね。

 順位戦は、B級とC級が2クラス、A級が1クラスと計5つのクラスに分かれていて、最も下のC級2組からスタートしました。昇級できるのは各級で年に3人または2人です。

 10回対局して、だいたい9勝1敗だと昇級可能で、8勝2敗だと「運が良ければ上がれる」という感じです。一手ミスするとそこで1年が終わってしまうわけですから、一手一手に緊張感があります。

勝負では「経験」が必ずしもプラスにはならない

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