ICTでコストを削減しよう(第4回)

その投資、大丈夫?! 初期投資のメリットとデメリット

posted by 廉 宗淳

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 事業をはじめる上で多かれ少なかれ発生するのが初期投資です。しかしこの初期投資があとあと大きな負担となる場合があります。例えばその事業がうまくいかず初期投資を回収する前に廃止することになってしまった場合や、初期投資が大きくのしかかり思うような費用対効果が出せない場合などです。初期投資にはメリットもデメリットもありますが、デメリットを可能な限り回避する方法について考えてみましょう。

新たな事業展開に初期投資はつきもの

 より大きな収益を上げ企業を発展・継続させることは、企業活動における重要なテーマのひとつです。そのために企業は事業規模を拡大し、場合によっては新規事業を立ち上げて、大きなビジネスチャンスを獲得しようとします。

 例えば、外食企業が新しく店舗を出店するためには、土地や建物の費用や店舗の内装・設備、スタッフの人件費などの初期投資が必要です。製造業であれば、新工場の建設費用や最新の機械設備の購入費用などが必要となるでしょう。

 このように、事業規模を拡大したり、新規事業を立ち上げるためには初期投資が必要となります。初期投資は企業の発展にとって必要不可欠なコストなのです。

初期投資が足かせとなる場合も?!

 一方、新たな事業展開は大きなビジネスチャンスを獲得できる機会であると同時に、立ち上げに際しては少なからぬ初期投資が伴うのは避けられません。初期投資は、その資金が回収できてこそ活きるコストです。しかしながら、初期投資の必要性を十分に理解し、仮に事業計画書で回収期間を3年と設定していても計画通りに進まないこともあります。場合によっては初期投資が回収しきれず、事業計画そのものが頓挫するケースも出てくる可能性もあるでしょう。以前にも増してビジネスにスピード感が要求されているいま、初期投資が回収できない事業は見切りをつけられてしまう憂き目に遭いかねません。

 もうひとつ、初期投資を行う場合に欠かせない視点が費用対効果です。コストパフォーマンスと言ったほうがおなじみかもしれません。文字通り、かけたコストに対し、それによって得られた成果は適切かどうかを判断、検証することが必要です。その結果、十分なコストパフォーマンスが発揮できなかった初期投資は、事業拡大の足かせとなっていると判断されてしまいます。

情報システム部を運営する場合の初期費用とは

 ここまで触れた初期投資は、直接的で具体的にイメージできる初期投資ですが、新しく情報システムを構築するケースも重要な初期投資のひとつです。いまやIT投資の成否が企業発展のカギを握っていると言っても過言ではありません。

 情報システムを社内に自前で構築する場合、どのような費用がかかるのかを見てみましょう。

 まずはサーバーやネットワーク機器など設備を設置するスペースの費用です。現在の社内スペースに余裕がなければ1フロアを新たに借りるか、設備の規模が大きければ、別の建物を用意する必要もあり、新たな賃貸料がかかります。

 また、これらの設備を稼働させると熱や音を発するため、それに対応する防音設備や空調設備が必要となり、これらの費用がプラスされます。さらに、稼働後は保守費用や設備にかかる光熱費なども検討しなければなりません。

 これらの初期費用は、サーバーやネットワーク機器の規模や数によってまちまちですが、場合によっては数千万円から億単位の費用がかかるケースもあるでしょう。

 ちなみに、自社が所有する設備や建物内に、サーバーや情報システムを設置する手法を「オンプレミス」と呼んでいます。

データセンターの活用で初期費用を最小限に抑える

 このように、情報システムを社内に自前で構築するには多額のコストがかかることが分かります。情報システムを新たに構築する必要は十分理解していても、そのためのコストはできるだけ抑えたいもの。そこで、新たに自社の情報システムを構築する際の初期費用を最小限に抑える方法としてクローズアップされているのが、データセンターの活用です。

 データセンターとは、主に通信事業などが企業のデータやサーバーを預かり、その管理や運用を行う拠点を指します。特にインターネット接続に特化したものをインターネットデータセンター (Internet Data Center、IDC)と言うことがあります。

 データセンターではサーバーを置くスペースをはじめ、空調設備やラックなど設備環境が整っているため、これらを自前で用意する必要がありません。また初期費用を抑えられるだけでなく、保守・運用するためのランニングコストも削減できます。

 さらに、データセンターでは一般的に、万が一停電が起きても稼働がストップしないよう自家発電装置によって二重化された電源や、耐震設備、防火設備、高速大容量のネットワーク回線などが用意されており、企業はこのような安全な環境のもとでシステムを安定的に運用することが可能になります。

 企業が持つ膨大なデータ、基幹システム業務システムが稼動するサーバーは、企業にとって非常に重要な資産のひとつで、情報システムは「ミッションクリティカルシステム」と呼ばれることがあります。

 ミッションクリティカルとは、「(生死を分けるほど)重大な」「重要な」といった意味があり、業務やサービスの遂行に必要不可欠な情報システムは24時間365日、地震や停電などの障害などで止まることがあってはなりません。データセンターを活用することによって、これらのリスクから大切な情報資産守ることも可能なのです。

※掲載している情報は、記事執筆時点(2018年9月30日)のものです。

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廉 宗淳

廉 宗淳
【記事監修】

1962年ソウル市生まれ。イーコーポレーションドットジェーピー代表取締役社長。1997年にITコンサルティング会社、イーコーポレーションドットジェーピー(株)を設立、代表取締役に就任。青森市 情報政策調整監(CIO補佐官)、佐賀県 統括本部 情報課 情報企画監を歴任。主な著書に『電子政府のシナリオ』(時事通信社、2003年)、『行政改革に導く、電子政府・電子自治体への戦略』(時事通信社、2009年)など。

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