元気な企業はどこが違う?成功企業の戦略とは(第53回)

新江ノ島水族館は大胆な発想の転換で新ビジネス創出

posted by 高田 麗子

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 湘南・江の島にある新江ノ島水族館の前身となる江ノ島水族館が、日本初の近代的な水族館としてオープンしたのは、戦後間もない1954年7月1日。日本で初めて、イルカやクジラを飼育する水族館として人気を博しました。

 江ノ島水族館は2004年には新江ノ島水族館としてリニューアルオープンし、初年度の来場者数は180万人と上々の滑り出しを見せたものの、その後は徐々に減少し2013年は130万人ほどに低迷してしまいます。

 しかし新江ノ島水族館は2014年、来場者数が年間172万人を記録し、V字回復を実現。翌年もその勢いは衰えず、2015年は過去最高の183万人を記録しました。なぜ新江ノ島水族館が2014年に業績を回復し、その後も勢い継続して過去最高記録を樹立できたのか、その成功戦略を探ります。

「魚を見る」から「環境を楽しむ」への発想の転換

 新江ノ島水族館の集客方法は、2014年までは他の水族館と変わらず「新しい・珍しい魚を入れること」でした。しかし珍しい生物を展示するために毎年投資しているにも関わらず、客足は遠のきつつあったのです。お客さまはいくら新しい・珍しい魚が見られたとしても、従来の「水族館」という娯楽施設に、新鮮味を見いだせずにいたからでしょう。

 そこで新江ノ島水族館は、水族館としてお客さまが楽しめる幅を広げるため、2014年夏、プロジェクションマッピングを使ったナイトアクアリウム(現在は「ナイトワンダーアクアリウム」)を実施。夜に営業している水族館がほとんどなかった時代だったので、この取り組みは入場者数を伸ばす原動力となります。「水族館は昼間に魚を見て楽しむもの」という従来の発想を打ち破ったのです。

 ナイトアクアリウムを始めた2014年の夜間の入場者は33万人でしたが、2015年は40万人に増加したそうです。夜間の来場者数は、年間来場者数の3割近くを占めるようになりました。

 さらに「水族館」という施設を活かした新たな試みも実施しています。たとえば、相模湾大水槽前の相模湾ゾーンやクラゲファンタジーホールなどの水槽前などのほか、イルカショースタジアムなどを、結婚式の挙式や二次会パーティー、各種催しができるレンタルスペースとして営業を開始。単に魚を見るだけではなく「楽しむ場」として水族館の場を提供しました。

 新江ノ島水族館は、こうした付加価値を活かしたビジネスモデルで、より多くのお客さまを喜ばせることに注力したのです。

年間パスポートで潜在個客も獲得

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高田 麗子

高田 麗子

千葉大学卒業後、日系企業で国際営業を経てMBA修士号を習得。現在はフリーライターとしてビジネス・語学の分野を中心に幅広く執筆活動中。

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