2018.4.23 (Mon)

朝礼ネタ帳(第133回)

意図が伝わる話し方に必要な4つのポイント

posted by あさき みえ

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 プレゼンテーションや会議、朝礼、懇親会などで話したときに、自分の意図が聞き手に伝わったのだろうかと悩む人は多いでしょう。相手へ的確に意図を伝えるような話し方ができれば、仕事が円滑に進むとともに、何度も説明するという非効率的な時間も省けるようになります。

 ソニーで会長・社長の戦略スタッフ兼スピーチライターを務めていた経験を持ち、現在はCEOスピーチコンサルタントやエグゼクティブコーチを行う佐々木繁範氏によると、相手に自分の意図をうまく伝えるためには、論理・情熱・信頼・非言語の4つが重要であると、著書『ソニー歴代トップのスピーチライターが教える 人を動かすスピーチの法則』で述べています。

 本記事では、その4つを意識することで、相手に自分の気持ちをきちんと伝え、なおかつ印象づけられる佐々木氏の話し方について解説します。

「相手に何を伝えたいか」を論理的に構成する

 人前で話すときには、「たくさんのことを伝えたい」と考えて内容に話題を多く取り入れがちです。しかし佐々木氏によると、耳で聴くだけの話はどんなに素晴らしい内容でも、人の記憶に残る量は驚くほど少ないといいます。記憶に残るようにするには、話題を1つに絞ることが大切です。

 話題を絞るときには、「進むべき道を見出すための視点や知識は何か」「一歩踏み出す勇気を与えるには何が必要か」「問題や悩みの解決に役立つ道具は何か」といった観点から考えると、聴き手の気持ちを惹きつけられるメッセージが見えてくるでしょう。

 また話の構成は耳で聴いてわかりやすいように、極力シンプルにするのも重要です。佐々木氏は、「オープニング、ボディー、クロージングという構成でスピーチをまとめることでメリハリの利いた、強いインパクトのスピーチができる」と述べています。その際、話の終わりには、一番伝えたいことを持ってくるのがコツです。最後に受け取った言葉が、最も人の記憶に残りやすいという特性を活用しましょう。

感情とリアルな体験を訴える

 理論的に構成しても客観的な事実ばかりが並ぶ話では、相手の心に届く話とはなりません。理論的ながらも、プライベートな自分の体験談や、気恥ずかしいと感じた瞬間といった主観によるストーリー(経験談)や情熱(感情)を織り込むと、聞き手は相手の話に引き込まれるのです。

 まずは、次の文章を読んでください。「私が小さい頃に両親は離婚し、母と弟の3人で暮らしていた。母は病弱で働きに出られず、必要なものも買えない貧しい生活だったが、弟には『医者になって母のような病気の人を救いたい』という夢があった。弟は勉強に勉強を重ねて医大に合格。その後は学費を捻出するために必死でアルバイトをしながら勉強し、今では立派な医者になった。私は貧しくても夢をあきらめなかった弟を尊敬している」。

 弟が夢を叶える話は、いかに難しい状況だったかについて、両親の離婚などのプライベートな体験を織り込んでいます。さらに自分が「尊敬している」という感情も述べています。佐々木氏は、「失敗や困難にぶつかり、それを乗り越えた経験は、聴き手に失敗を恐れず挑戦する勇気を与える」といいます。自身の経験から何を学んだかを伝えると、より相手の心に響く話になるでしょう。

聞き手の信頼を得るには相手へ共感することから

 佐々木氏によれば、人は誰しも何かしらの理由があるから行動を起こしているそうです。そのため話し方でも、相手が行動を起こしている理由に共感を示すことは、相手からの信頼を得ることにつながります。そして自分の意見を述べるときに、相手は信頼から受け入れる姿勢で向き合ってくれます。

 たとえば、部下が一生懸命作った資料に足りない内容があったとき、「がんばって資料を作ってくれてありがとう。よくできているけれど、この内容を入れたらもっとよくなると思うよ」という共感を示してから、提案をする言い方にすれば、部下はあなたを信頼するようになるでしょう。

 逆に「資料にこの内容が不足している。もう一度作り直すように」と部下の努力に共感を示さずに言うと、修正には応じるかもしれませんが、部下があなたに信頼を寄せることはありません。

アイコンタクト、口調、仕草も総動員で

 前述の理論・情熱・信頼というポイントを抑える以外にも、話し手の意図を伝えるものがあります。それは身体や声です。聴き手も、話し手の姿勢や表情や仕草、声などから直感的に意図を読み取ります。佐々木氏は著書の中で「人前で話をするときにはもちろん、人と接するあらゆる場面で、相手に届けたい感情を意識して、しっかり抱くように心掛けてください」と述べています。

 また聴き手とアイコンタクトをとることも、大切なポイントです。聴き手の数が多いときは、右・真ん中・左と3つのブロックに分け、均等に視線を注ぎましょう。また、「目は口ほどに物を言う」という言葉があるように、やる気に満ちあふれた瞳は相手にも印象的に映るものです。

 視線や瞳だけでなく、声色の使い分けも重要なポイントです。佐々木氏によれば、さまざまな発声技術を使うことで、聴衆のいる空間に話し手が抱く感情の微細なものから強烈なものまでを、声の振動として余すことなく伝えることができるとしています。たとえば、話の内容によって声の強弱を変え、最も強調したいところは大きく声を張るなどすれば、相手により自分の気持ちが伝わりやすくなるでしょう。

 聴き手が話の意図を理解できるかどうかは、話の内容だけでなく話し手の身振り手振りも大きく影響します。人前で話をするときには、相手の心に響くような論理・感情・信頼によってストーリーを組み立てるとともに、目や声など身体全体も総動員した話し方を意識してみましょう。

※掲載している情報は、記事執筆時点(2018年3月26日)のものです。

【参考書籍】
佐々木繁範『ソニー歴代トップのスピーチライターが教える 人を動かすスピーチの法則』日経BP社

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あさき みえ

あさき みえ

法学部を卒業後、貿易事務、購買事務などの事務職を経て「法律系ライター」として独立。以来、ビジネス実務法務検定2級の資格や社労士・行政書士の受験で得た知識を活かして、さまざまな分野の法律系コンテンツ記事執筆や法律事務所のウェブコンテンツ制作などを手がける。経営系・人事労務系といったジャンルの執筆も得意。徹底的にリサーチを重ね、客観的データやエビデンスに基づいた執筆スタイルに定評がある。

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