2017.11.22 (Wed)

朝礼ネタ帳(第116回)

部下を成長させるヤフーの「1on1ミーティング」とは

posted by 村上 哲也

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 上司が部下の仕事に対する悩みや考えについて話を聞くという機会は、日常業務とは別に時間を割かないと深い部分まで話し合うことは難しいものです。日本最大級のポータルサイト、Yahoo! JAPANを運営するヤフーでも、上長と部下による個人面談は実施していたものの、上長・部下ともに大きな意義を見いだせていませんでした。

 しかし2012年に経営陣が大幅に交代されると、個人面談を「1on1ミーティング」という名称に変更し、部下のバリュー行動(課題解決などの行動)の実践を支援する、個人の才能と情熱を解き放つという観点で大改善を行ったそうです。これにより上長と部下のコミュニケーションが深まり、部下たちのモチベーションに大きな変化を与えたことが話題となりました。

 本記事では、1on1ミーティングを導入したヤフーの上級執行役員・本間浩輔の著書『ヤフーの1on1-部下を成長させるコミュニケーション』から、施策のポイントを紹介します。

個人面談で部下の成長を促すなら

 本間氏は、ヤフーに入社する前に経営していた会社で、自分のことを理解してくれていると思っていた部下から「本間さんが何を考えているかわからない」と言われた際、驚くとともに部下とのコミュニケーション不足を痛感したそうです。

 そして、上長と部下のコミュニケーション不足となると、「部下が勝手に判断して仕事を進める」「イノベーションが起こりにくくなる」「部下や上長が何をしているか分からない」などの問題が多発することに気が付きます。

 それらの経験から本間氏は、ヤフーの人事部門の部長を務めることになったときに、「コーチング」「ティーチング」「フィードバック」の3つで部下を育成する1on1ミーティングを導入しました。

 具体的には、週1回30分、上長と部下が面談を行うというものです。この週1回という面談の目的は、部下に「次の具体的な行動を考え、決めさせる」ことです。その内容は個人面談でありがちな、上長の評価を伝えるものではなく、現在進行している仕事や、将来のビジョンなどを含めて、部下に仕事で次にするべきことを気づかせるのが目的です。そして、翌週には実行した結果を聞き取り、反省や次の段階へのステップを一緒に思案するというサイクルで繰り返していきます。

一方的な通達をする個人面談には具体性がない

 このような「コーチング」「ティーチング」「フィードバック」という「経験学習サイクル」が、1on1ミーティングの特徴です。経験学習サイクルとは、部下に考えさせる質問をするコーチング、部下に行動すべきことを気づかせるティーチング、結果を振り返らせるフィードバック、という循環を繰り返すことで、これによって部下へ成長を促します。これをヤフーは1週間に1回行っているところもポイントです。

 たとえば、賞与や昇給などの前に評価を伝える個人面談は、多くの企業で実施されているでしょう。しかし数カ月に1度という長いスパンでは、改善や反省も総評のようなアドバイスとなり、明日から取り組むことといった具体性を欠いてしまいます。

 一方、1on1ミーティングの週1回なら、先週の業務での振り返り、来週の業務で改善すべきことというように数週間単位の小さな成長と目標を設定できるため、実務に即したことを話題にしやすくなります。上長も短いスパンなので具体的なアドバイスが行えるため、部下の能力や仕事ぶりを把握しやすくなるとしています。

週に1回だから具体的な目標を示せる

 ただし、部下が自分から目標を考えられない、あるいは改善に気づかなければ、1on1ミーティングの効果は期待できません。そのため、ヤフーでは上長に、コーチングやティーチングにおいて、部下の意見を引出せるようになるトレーニングも行っています。上長側も1on1ミーティングで自分を磨きながら、部下とのコミュニケーションを深めています。

 同時に部下は、上長との対話が部署や会社の業務目標を理解する機会となります。ひいては、自分の今行っている仕事が、自分のキャリアプランを実現することに繋がっていると実感できるようになるそうです。

 短いスパンでのコミュニケーションは、信頼関係の構築にもつながります。また仕事の合間の質問や飲み会などの席ではなく、話すための時間を持つことは、部下の仕事に対する考え方を理解する時間ともなります。もし上長である自分の個人面談が、一方的に評価や反省事項を部下に通達するだけの場となっているようなら、組織力を向上させるためにも、1on1ミーティングを実践してみてはいかがでしょうか。部下に眠っている能力を目覚めさせ、新たな戦力を育てる機会にもなるでしょう。

【参照資料】
本間浩輔『ヤフーの1on1-部下を成長させるコミュニケーション』ダイヤモンド社

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村上 哲也

村上 哲也

コンサルタント兼ライター。ゼロベースでのコンサルタントには定評があり、担当する顧客とは「戦略」から始め「戦術」まで実行させる本格派。2013年より本業の合間にライター業務も行っており、コンサルタント関係に留まらない幅広い記事の記載を行っている。
http://midorinooka2014.wix.com/business-consulta-jp

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