2017.11.9 (Thu)

朝礼ネタ帳(第113回)

幸福に必要な金融、人的、社会という「3つの資本」

posted by 大福 汁粉/studio woofoo(www.studio-woofoo.net)

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 「幸福に生きるために、必要なものはなんですか?」という問いに対する答えは、人ぞれぞれで千差万別といえるでしょう。幸福は恋人や家族と一緒にいることや、仕事のやりがい、またはお金という人もいるでしょう。人が幸福を感じていることの多くは、社会生活での充実度ともいえます。

 作家である橘玲氏は、著書『幸福の「資本論」―あなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」』で、社会生活の充実度という視点から、幸福には3つの種類があるとしています。同書では幸福を実現するのに必要なものを資本に例えて、社会生活で資本をどのように投資すれば、幸せを実現できるかを解説しています。

自由、自己実現、絆という3つの欲求

 橘氏は著書で、社会生活で幸福を得るためには、人は資本を投資しているという説を立てています。社会生活における幸福とは「自由」「自己実現」「共同体=絆」という3つの欲求が満たされることだそうです。それを満たすために、人は自分が持っている時間や能力などの資本を社会生活に投資して、見返りを得ているとしています。

 1つ目の幸福である自由を満たすとは、好きなことをして生きていけることです。たとえば休暇を自由に過ごすために、自分の時間を労働に投資することで、お金という「金融資本」を得ています。つまり金融資本があれば、嫌なことをせずに生きていけるのです。

 2つ目の自己実現とは、自己の内面的欲求を社会生活で実現することです。ドイツの思想家・経済学者であるK.マルクスの概念にあるように、仕事や人生で自己の能力や個性を認められることです。つまり「やりがい」や「生きがい」などを本人が感じることになります。

 人の心理が複雑なところは、金融資本が満たされても、自己実現に満足していないと、幸福と感じない点です。自由という金銭に交換できるものと違い、自己実現という内面的欲求は、プライスレスなものであると橘氏は述べています。

 3つ目の「共同体=絆」は、社会に属している人間だからこそ欲するものと橘氏は説明しています。たとえば、お金がない、仕事にやりがいがない、だけど心を許せる友人や家族という絆があると、幸福という人もいます。人は社会に属しているため、仲間という共同体から認められることに幸福を感じることをインプットされた生き物なのです。

 しかし共同体には二面性があります。人は仲間という社会資本と関わりを持つという投資で、友情や愛情という絆を深めます。一方で絆には、裏切りや嫉妬という反対の作用も存在し、絆が深ければ反作用も強いものです。そのため敢えて共同体と距離を置くほうが幸福という場合もあります。

資本が枯渇すれば幸福は実現できない

 これらのように人は金融資産、人的資本、社会資本を投資して、社会生活の中で幸福を得ています。橘氏は幸せが1つしか満たされていないと、それを支える資本が枯渇したときに立ち行かなくなるので、2つ以上の幸せを満たす生き方をすすめています。

 2つ以上の幸福がある人生を築くためには、時間とエネルギーを投資して資本を蓄えることが重要です。それぞれの資本を枯渇させない行動を紹介します。

 金融資本は、労働だけでは定年や加齢によって枯渇してしまいます。橘氏は資産運用などで老後に備えたり、現在の自由を充実させるべきとしています。その運用もリスク回避のために、一極集中ではなく分散することを喚起しています。

 人的資本は、好きなことに集中投資するべきだと書かれています。仕事の中で自分の好きなことを見つけ、そこに多くの時間とエネルギーを投入することで、知識やスキルが高まります。専門的な知識や高いスキルがあれば、自分が必要される状況が生まれ、やりがいや生きがいを持てるのです。

 そのスタート地点は「好き」ですが、仕事は年数を経ていくうちに、好きが薄れてしまいます。橘氏は、このようなことが起こるのは、やりがいや好きといった、お金に換算できないものに、賃金というお金が介在しているからとしています。自己実現というものは、人間の複雑な心理も関係するので、長期で資産を満たすのが難しい幸福でもあります。

割り切りも必要な社会資本への投資

 社会資本については、絆の深さによって投資すべきエネルギーを変えるべきだとしています。友人や家族などの親しい間柄を「愛情空間」とし、仕事関係などをメインとした金銭が関わる間柄を「貨幣空間」を分けます。人間関係のもたらす負の側面を回避するために、「愛情空間=強いつながり」は限られた人物のみとし、友情や知人はすべて「貨幣空間=金銭・市場を介した弱いつながり」に置き換えることを提唱しています。絆には「割り切り」といった心持ちも必要だということです。

 橘氏の3つの資本による幸福論は、金融資産を運用で安定させる、人的資本を好きなことに投資する、社会資本は絆の深さによって投資するエネルギーを変えていくことで、安定した資本を築けると説明しています。また現代の日本という豊かな社会なら、3つの資本をすべて充足させることも可能とも述べています。時間や仕事、人間関係に不満や行き詰まりを感じているようでしたら、橘氏の3つの資本にもとづいて、社会生活の幸福を見直してみてはいかがでしょうか。

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大福 汁粉/studio woofoo(www.studio-woofoo.net)

塾講師、マーケ系情報コンサル等を経てフリーライターへ。企業のオウンドメディア、英語学習サイト、ニュースサイトを中心に執筆している。

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