2017.8.22 (Tue)

朝礼ネタ帳(第103回)

トヨタ流「深く考える」仕事術を身に付ける

posted by Biz Drive編集部

このエントリーをはてなブックマークに追加
Evernoteに保存
印刷

 企画を練る、課題を解決するといったビジネスシーンでは、物事の本質を深く考えることが必要です。経営コンサルティングを行っている稲垣公夫氏は、著書『深く、速く、考える。「本質」を瞬時に見抜く思考の技術』で、物事の本質を見極める力を身につけるには、思考のトレーニングが必要であると述べています。

 同氏はトヨタの報告書や企画書の作成方法を研究しており、研究内容を元に「深く考える」トレーニング方法を確立しました。今回は「深く考える」力を身につけるトレーニング方法を紹介します。

トヨタ式「A3報告書」で解決力が向上?

 稲垣氏の著書によると、トヨタでは報告や企画をA3サイズ用紙1枚にまとめる「A3報告書」という独特な課題解決ツールがあるそうです。A3報告書は、その名のとおり報告内容をA3サイズにまとめるために、無駄な説明を極限まで削ぎ落として、物事の本質を簡潔にまとめることが必要になります。トヨタの社員たちは、この作成作業によって深く考える力が養われ、課題解決案や新企画提案を、簡潔なシナリオ形式でまとめられるようになるそうです。

 稲垣氏はトヨタ以外の企業の製品開発エンジニア向けに、このA3報告書のトレーニングを行なってきました。そして、このトレーニングを受けると、課題の本質を把握できるようになり、解決力が向上したエンジニアが多かったと述べています。

深く考えるために「因果関係マップ」を書く

 稲垣氏のトレーニングでは、A3報告書を作成する前に、物事の因果関係を把握する「因果関係マップ」の図を書きます。これにより課題の構造が「見える化」され、本質が抽出できるわけです。本質が抽出できれば、具体的な解決策を深く考えることができるようになります。

 「因果関係マップ」を書く手順には、まず課題をいつくかの塊に分解し、次に塊ごとの問題を理解し、最後に塊同士の相関関係をマップにして把握します。そのマップを元に課題全体の問題(本質)を把握(抽出)するという流れになります。

 因果関係マップを書く際、一発で決まることは少ないそうです。マップを書いた後に塊ごとに解決策を考えますが、最後に全体の解決案をまとめたときに、マップを俯瞰して課題の本質を解決できているか確認します。解決できない場合は、解決策の考え直しだけではなく、本質の抽出が正しかったのかという再検証も行います。これを繰り返すことで、本質が抽出できるようになり、解決策は現実性のあるものへと洗練されると稲垣氏は解説しています。

 トヨタのA3報告書で身に付く深く考える力とは、解決策を練る「具体的」な考え方と、因果関係マップを俯瞰して解決する「抽象的」な考え方の両方を自由に行き来できるようになる力を指しています。なお、トヨタでは「具体的」と「抽象的」な考え方をズームイン、ズームアウトとも呼んでいます。写真でピントを特定の人物のみに合わせたり、全員に合わせたりというようなイメージで、考え方の深さを自在に変えられるからです。

浅い考えでは本質を解決できない

 稲垣氏は深く考える力をトレーニングすると、異業種で因果関係が似た課題や、今抱えている課題で参考となる解決方法に気づくようになると伝えています。本質を抽出するという作業は、思考力とともに深い観察力も必要です。ズームイン・ズームアウトは考え方の深さを変えるだけではなく、視野も広げていくことになります。

 深く考える力をトレーニングする重要性は理解できても、人は日ごろの業務で差し迫った問題にズームインして解決策を考えようとしがちです。しかし、その問題が生じている背景まで考えないと、つぎはぎ手当のような解決策を講じているだけになりかねません。まずは因果関係マップを描いて、自分が抱えている問題の「見える化」から始めてみましょう。

【参考書籍】
稲垣公夫『深く、速く、考える。「本質」を瞬時に見抜く思考の技術』クロスメディア・パブリッシング

このエントリーをはてなブックマークに追加
Evernoteに保存
印刷

連載記事一覧

Biz Drive編集部

Biz Drive編集部

メルマガ登録


スペシャルインタビュー


成功企業の戦略


離島の廃校で学ぶ酒造りとまちづくり

ページトップへ