2017.6.19 (Mon)

朝礼ネタ帳(第93回)

「五月晴れ」から学ぶ、季節の言葉の正しい使い方

posted by Biz Drive編集部

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 5月になると「五月晴れ」という表現をよく耳にします。現在では、5月ころのよく晴れた天気という意味で使われることが広まっていますが、元々は「梅雨の晴れ間」という意味で梅雨と関連した言葉でした。なぜ梅雨に関連していたかというと、旧暦から生まれた言葉だったからです。

 五月晴れが、元と違う意味や季節で使われるようになった要因は諸説あります。その1つが明治時代の太陽暦導入の経緯にあるといわれています。

「五月晴れ」は皐月の晴れ間だった

 五月晴れは「梅雨の晴れ間」が元の意味です。現在の太陽暦と、明治時代まで使われていた旧暦では、1カ月、1年、閏年などの算出方法に違いがあります。そのため、同じ日付でも2つの暦では季節が1~2カ月ずれるのです。

 旧暦の5月は、おおよそで太陽暦の6月にあたります。だから五月晴れは、梅雨の晴れ間だったのです。旧暦の季節を継承している俳句では、今でも五月晴れを梅雨の季語として使っています。

 太陽暦の導入は、旧暦の明治5(1872)年12月3日を、明治6(1873)年1月1日に改めたのが始まりです。しかし旧暦も明治42(1909)年まで政府発行のカレンダーに併記されていました。

 政府が明治43(1910)年のカレンダーから旧暦の併記を廃止すると、旧暦に基づいた行事を新暦に移行する風潮が起こり、行事と季節のリンクに変化が生まれたとされています。

 たとえば「七夕」は旧暦7月7日(現在の7月末~8月下旬)の梅雨明け後の季節に行われていたのですが、現在は太陽暦に移行し梅雨に行われています。一方で旧暦に合わせて8月に行う地域もあったりと、明治43(1910)年の旧暦表示廃止は、現代人の我々が想像する以上の出来事だったようです。

 また5月に目を戻すと、旧暦では5月のことを皐月(さつき)と書きます。旧暦は農耕作の目安ともなっていました。皐月は田植えの時期とされています。稲は温暖な地域のみで育つ作物でしたが、今では稲の品種改良により、田植えの時期は4~6月と幅広くなっています。これも季節を表す言葉と、現在の実情にズレが生まれている要因かもしれません。

 また5月に目を戻すと、旧暦では5月のことを皐月(さつき)と書きます。旧暦は農耕作の目安ともなっていました。皐月は田植えの時期とされています。稲は温暖な地域のみで育つ作物でしたが、今では稲の品種改良により、田植えの時期は4~6月と幅広くなっています。これも季節を表す言葉と、現在の実情にズレが生まれている要因かもしれません。

リンクが薄れた季語を知っていますか?

 旧暦とのリンクとは違いますが、季語として使われているうちに広義な意味に代わったものもあります。たとえば「爽やかな五月晴れ」も季語としては間違った使い方です。「爽やか」は秋の季語です。現代では、春や夏の時期にも使いますが、もともとは秋の天候などを表すものです。春であれば、「うららか」「のどか」といった言葉を使うのが適切です。

 他では「小春日和」という言葉を、春の晴天を指すものも間違いです。「小春」というのは、旧暦でいう晩秋から初冬にかけての時期のことを意味します。すなわち、小春日和は、秋から冬にかけて寒くなりつつある時期に、暖かく春のような晴れ間が広がる日のことなのです。

 このように季節の言葉が持つ元の意味を覚えておくと、季節感や言葉使いに細やかな人と目されるかもしれませんね。

リンクが切れたことで新しい意味が生まれる

 しかし誤った使い方だったはずが、時代の感覚に沿ってことで広まることもあります。

 天気予報などで5月の晴天という意味で五月晴れという使い方を耳にする機会もあります。国語辞典には「5月ころのよく晴れた天気」という意味が最初に記載され、「梅雨の晴れ間」という意味が2番目に記載されていることも少なくありません。

 このように言葉も生き物のように時代や環境への対応を繰り返しながら、現代へ受け継がれてきました。そして言葉は、まだ人が作り続けている文化の1つなのです。

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