2017.2.23 (Thu)

朝礼ネタ帳(第77回)

ドナルド・トランプの実業家としての力量とは

posted by 山田雄一朗

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 2017年1月、ドナルド・トランプ氏がアメリカ合衆国の大統領に就任しました。彼の過激な言動は報道でも頻繁に取り上げられていますが、その振る舞いは、彼が実業家時代に身に着けた交渉術のひとつだともいわれています。

 トランプ氏は実業家として、どのようにビジネスを行ってきたのでしょうか。本記事ではトランプ氏の実業家としての一面を取り上げます。

挑戦を続けるか、破産して諦めるか

 トランプ氏は、“不動産王”として大成功を収めた人物として知られています。ニューヨークにある58階建ての高層ビル「トランプタワー」は特に有名で、現在も多くの有名人が住んでいます。このほかにも、「トランプ」の名を冠したビルや不動産は、ニューヨークをはじめアメリカ各地にいくつも存在しています。

 元々トランプ氏は、ニューヨークで不動産業を営む家庭に生まれました。大学卒業後に父の会社に入社し、やがて経営権を与えられるなど、典型的な “二代目社長”のようなスタートを切りますが、ここからトランプ氏は父との違いを見せつけます。父はニューヨークの中所得者向けの住宅を供給する事業をビジネスの中心としていましたが、トランプ氏はニューヨークのビジネス街であるマンハッタン地区のオフィスビルやホテルの経営に進出。成功を収めたトランプ氏は、一躍時代の寵児となりました。

 そんなトランプ氏ですが、1980年代後半には異業種への進出に失敗し、多額の債務を抱えてしまいました。当時の負債は、一説によれば約90億ドルと言われています。現在の通貨レートで換算すれば約1兆円で、常人では考えられない数字です。

 彼は自らの著書「トランプ 最強の人生戦略」で当時を振り返り、「諦めないで挑戦を続けるか、破産して諦めるか、私は決断に迫られていた」と述べています。

借金を背負いながら、銀行から融資を受ける底力

 平睦夫氏による書籍「ドナルド・トランプ 奇跡を起こす10倍思考」によると、 トランプ氏は巨額な負債を抱えた1990年代、道端を歩く人を見て「あの人は、自分より90億ドル裕福なのだ」とつぶやいたと言われています。さすがのトランプ氏といえど、巨額の負債は精神的に堪えたのかもしれません。

 しかし彼は、実業家として挑戦を続ける道を選択。銀行と交渉を行い、「5年間の借金の返済猶予と、6,500万ドルの新規融資」という好条件を引き出します。90億ドルの負債を持ちながらも、さらに銀行から融資を受けるのは、並大抵のことではありません。

 先に挙げた「ドナルド・トランプ 奇跡を起こす10倍思考」によると、トランプ氏は交渉に臨む際に、交渉相手を徹底的に研究し、自分に有利な方向へ進むよう準備を重ねるといいます。豪快なように見えて、実は綿密な一面も持ち合わせているのです。「交渉に臨む際、私は完全勝利を目指す」というのは、今でもトランプ氏のポリシーのひとつとなっています。

 彼はその後、自身が経営していた航空会社「トランプシャトル」や、カジノリゾートを破産申請して少しでも負債を減らし、キャッシュを得られるよう尽力しました。

 そして1990年代後半、アメリカの景気が上向くと、トランプ氏はこの追い風を背に、ニューヨークの超高層ビルを買収するなど攻勢に出ます。そして、1996年には、実に7年ぶりにフォーブスの長者番付に返り咲きを果たしました。どん底からの復活劇が完成したのです。

「どんな失敗もすばらしい学びになる」

 ビジネスの世界では、失敗や危機に陥ることはよくあることです。だからこそ、窮地に直面した時の行動が試されるのです。

 トランプ氏は先述した自著にて、失敗について以下のように述べています。

「どんな失敗もすばらしい学びになる。そういう過程を経て私はビジネスマンとしての腕を磨いてきた」

 大統領としてのトランプ氏の評価はさておき、彼が実業家として失敗や危機に直面し、その局面を切り抜けてきた底力は、見習う価値があるかもしれません。もし今、困難な状況にある人は、ピンチをチャンスに変えるために、危機と正面から向き合ってみてはいかがでしょうか。

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山田雄一朗

山田雄一朗

筑波大学大学院で経営工学の修士号を取得した後、IT企業で営業として5年の職歴を経験。リサーチ力を強みとしたライターとして活動中。

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