2017.1.31 (Tue)

朝礼ネタ帳(第74回)

4月から始まる新しい税制を営業トークに使う方法

posted by 水野 春市

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 2016年12月8日、平成29(2017)年度税制改正大綱が決定されました。配偶者控除の年収要件引き上げに関心が集まった今回の税制改正大綱ですが、その中身を丹念に見渡してみると、いくつものビジネスチャンスの芽が隠れています。

 今後は、国会での税法審議を経た上で4月から新しい税制がスタートしていくため、自社に合ったセールストークのネタを税制改正大綱の中から見つけ出していきましょう。

固定資産税の減税対象の拡大を営業のネタに

 今回の税制改正大綱の中で注目したいのが、中小企業経営強化法に基づく「経営力向上計画」の認定を受けた企業に対する固定資産税の軽減措置拡大です。わかりやすくいえば、新たに購入した機械設備の固定資産税を、3年間半額にするというものです。今回の税制改正大綱では、この対象を機械設備だけではなく、器具備品や建物附属設備にまで拡大することが決められました。

 産業用の工作機械などは高価なので、顧客側も設備更新に踏み切るには、決断を後押しする理由が必要です。このような顧客向けへのセールストークに「経営力向上計画の認定を受ければ、税負担が少なくなる」という情報を盛り込むことによって、背中を一押しすることができるようになります。

 さらに、空調設備やエレベーターといった建物附属設備までに減税対象が拡大されました。電気工事などを手掛ける建設会社にもチャンスが広がったといえます。内装設備の老朽化が目立つビルを中心に営業をかけ、税制改正の内容を紹介することによって、商業ビルのリノベーション需要を掘り起こすことができそうです。

ひとつのアプローチから芋づる式で営業を

 今回の税制改正大綱のもうひとつの目玉といえるのが、事業経営時に発生する相続税・贈与税を免除・軽減する「事業承継税制」の大幅拡充です。

 これまでの事業承継税制では、雇用要件などの厳しいハードルをクリアしないと、相続税・贈与税の軽減を受けることができなかったのですが、この要件を緩和していくことが税制改正大綱で決まりました。また、非上場株式の評価についても、割高な計算方法から時代に合った計算方法へ見直すことが決定したため、今後は中小企業を中心に事業承継が進んでいくものと見込まれます。

 事業承継は、経営者の代替わりです。そこには、代表取締役交代のお知らせ葉書の作成や、名刺や会社案内用のパンフレットの更新需要が生まれてくることを意味します。

 今後はこうした需要に加え、経営者の若返りに伴う「IT投資」が生まれてくることも期待されます。中小企業庁の調査によると、中堅企業の経営者の平均引退年齢は67.7歳で、その後を継ぐ息子・娘世代にあたる40代以下は、IT投資、広告宣伝投資意欲が強い傾向にあるといいます。つまり、事業承継をきっかけに、ウェブサイトの新規立ち上げやクラウドサービスの利用開始といった抜本的な経営改革を行っていく可能性が高いです。

 たとえば、神奈川県のある老舗旅館では、経営者の若返りに伴って、クラウド型の業務システムを導入して、収益体制の改善につなげているという例もあります。

 顧客との会話の中で税制改正の内容を紹介すると共に、より若い世代の経営者の潜在ニーズを引き出す魅力的なサービスの紹介をすることで、将来需要の取り込みにつなげていくのも一案です。

 このように税制改正の内容を深読みすることで、ライバル他社に先駆けて営業アプローチをかけていくこともできるのです。

エコカー市場は税制改正が作り出した?

 税制改正は、これまで多くのビジネスチャンスを生んできました。その代表例といえるのが、2009年から始まったエコカー減税です。

 エコカー減税は、電気自動車や低燃費自動車といった環境負荷の少ない次世代自動車の自動車重量税を減免するもので、2008年度に3%台だった新車販売台数に占める次世代自動車の割合を、2011年度には16%、2013年度には23%にまで伸長させることにつながりました。

 さらに、電気自動車用のバッテリーや充電器など、次世代車の関連製品の需要を大きく伸ばし、株式市場でも関連銘柄に注目が集まることにもつながりました。

 つまり、税制の改正内容をすることは、消費者や企業の行動はどのように変化するか、どのような商品やサービスの需要が生まれていくか、市場の動きを先読みするということでもあるのです。

 税負担の軽減は、顧客側にとっても分かりやすいメリットとなるため、自社の商品やサービスの長所だけではなく、税制改正の内容もセットにした提案型のセールストークを行ってみましょう。き取引の成約率を高めるだけでなく、顧客の満足度向上にもつながっていくことでしょう。

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水野 春市

水野 春市

経済関連の調査活動を行うミハルリサーチの一員。主に地域の伝統産業や企業行動に関するレポートを作成している。

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