2016.8.30 (Tue)

朝礼ネタ帳(第55回)

都知事選に勝利した小池百合子に学ぶイメージ戦略術

posted by KEISUKE /studio woofoo(www.studio-woofoo.net)

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 2016年7月31日に行われた都知事選では、小池百合子氏が他の候補に圧倒的な大差をつけて勝利しました。都知事選はそもそも選挙期間が短く、政策よりもイメージ戦略が重要になると言われていますが、そんな中でも小池陣営が見せた戦略と立ち回り術は近年、稀なほど見事なものだったと考えられます。

 選挙から一段落した今、小池氏のイメージ戦略と立ち回り術を整理しながらスポットを当てていきます。

分かりやすい対立構造で改革者・挑戦者をアピール

 小池氏が仕掛けたイメージ戦略の中で最も特徴的なのが、分かりやすい対立構造を生み出したことです。小池氏は自民党所属でありながら、自民党東京都連の候補者決定を待たずに出馬したため、党の顔を潰すような形で立候補を表明しました。

 この時から既に「組織の後ろ盾がないまま、一人で選挙戦に挑む小池百合子」という明確な像を持っていたと考えられます。つまり、前職である舛添氏の辞任を受け、有権者のニーズは「改革」にあると判断していたということでもあります。

 それに対し、小池氏によって“分裂選挙”となった自民党は、これ以上の分裂を防ぐため、組織としての一体感を武器に戦いました。しかし、組織色が強まれば強まるほど、一人で戦う小池氏を組織ぐるみで攻撃しているという構図が生まれてしまいます。それを決定付けたのが、自民党の国会議員・地方議員に対し配布された、議員やその親族が小池氏を支援した場合、除名など、厳しい処分をすることを明記した文書の存在でした。

 組織が一枚岩になることは決して悪くはありませんが、改革を求める有権者のニーズや、旧態依然とした組織というイメージが定着することが、今回の選挙でいかに不利に働くかについて、もう少し深刻になるべきでした。

 こうした一連の流れから、小池氏は窮屈な組織に孤軍奮闘しているという構図となり、改革を行う挑戦者としての立場をイメージ付けることに成功しました。

少しの工夫が大きな効果を生む。聴衆を巻き込む戦略

 小池氏の戦略のもう一つの特徴がSNS戦略の巧みさです。小池氏が他の候補と違ったのは、候補者本人だけでなく、街頭演説に集まった聴衆の画像も載せていた点です。

 一見、大したことではないように感じられるかもしれませんが、単純かつ効果的な優れたアイデアです。推薦を得ていない小池氏にとって最大の味方は支持してくれる聴衆であり、聴衆と共に戦っていることをアピールできるからです。このアイデアにはコストや労力もほとんどかかりません。

 また、SNSはそれまでの既存のメディアと違い、一般人が主役となるメディアです。何か大きなことが起きた時のリアクションを共有し楽しむ場であり、一般人のリアクションが集まって大きなうねりとなり、それがまた一つの事件・話題としてまとめられ、さらに波及していきます。

 さらに「百合子グリーン」と名付けた緑のイメージカラーを打ち出したこともSNS戦略の一環だと捉えられます。緑のアイテムを身に付けるということは、街頭演説に集まった支持者に一体感を持たせるだけでなく、「どれだけ盛り上がっているか」を可視化できます。そこにSNSが組み合わされば、一体感や盛り上がりをさらに多くの人々にイメージ付け、広げていくことが可能となります。

 「イメージカラー」と「聴衆の映った画像」この二つの戦略は、お互いの効果を強めるために生み出されたものではないでしょうか。

挑発を受けても、相手より一つ上をいく対応

 中盤まで接戦だった今回の選挙において、潮目が変わったきっかけに、石原元都知事による「厚化粧の大年増」という失言があります。この発言は批判ですらない、ただの悪口のような失言でしたが、それに対し、小池氏本人は「今日は薄化粧できました」というユーモアで返したり、「顔のアザ」という自身のコンプレックスを語ったりすることで、石原氏を完全なる悪人とすることに成功します。

 この件は石原氏のミスなので、小池氏は石原氏に対して怒ったり、発言の撤回を求めることもできたはずです。しかし、あえてしなかったことで、悪口合戦に陥ることなく、大人の対応を見せたことで、女性層はもちろん、多くの自民党支持者が小池氏に鞍替えしたと考えられます。

 小池氏は今回の都知事選で、分かりやすい対立構造と、SNSによる単純ながら効果的なアイデアを用いて、勝利を収めました。難しさ、複雑さは一切見られません。

 イメージという大衆が作り出すものを効果的に利用するには、都民=消費者の声を聴くという当たり前のこと大切に、単純で分かりやすいことを行っていくのが重要なのかもしれません。

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ライター・ウェブディレクター。プロのダンサーから転身。就職サイト、社会人向け情報サイト、エンタメサイトのウェブディレクターの経験を経て、記者、フリーライターとして活動しつつ、某テレビ局のサイト立ち上げ、コンサルなど幅広く活動している。

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